【回路解説】Landgraff dodの自作

Landgraff DOD

TS系の回路は流石にもう解説しなくても良い気がしてきましたが、一応解説しておきます。

とは言え設計もちらほらおかしいところはあるので、今回ばかりは解説せざるを得ないですかね。

そんなわけで、自作される際にご参考になればと思います。

回路図

https://gakkura.com/wp-content/uploads/2015/07/Landgraff_DOD.jpg

典型的なTS系回路ですね。

TSっぽくない歪み方なのは、増幅率が高い事と、クリッピングダイオードのややシャープな特性が原因です。

しかしトーンはTSっぽさを感じる方が多いかもしれませんね。

入力部

TSのバッファ回路と全く同じですね。エミッタフォロワのよくあるバッファ回路です。

C2で回路に通す帯域を決めるんですが、ゲインが高いのであまり変えない方が良い気がしますね。とは言え音にかなり影響するので、DOD好きな方は試行錯誤してみると良い結果が出るかもしれません。

R2で4.5Vまで電圧を持ち上げて、出力となります。

歪み回路

問題の歪み回路です。

まぁ他の段との問題でもあるので、後ほど解説します。一旦はこの歪み回路だけ解説していきます。

C5を通ってR8で中間電圧をかけた後、オペアンプに入力されます。それにしても最近の方はNPを無極性電解コンデンサだと思っているらしく(実際最近は無極性電解コンデンサを指しているという風潮がありますが)、それが一般的になってしまっているのは問題ですね。

エフェクター、ひいてはオーディオ回路で無極性電解コンデンサを使う事は無いと考えてください。何も考えず無極性電解コンデンサを使って人様に販売しているメーカーには怒りすら覚えますね。SHOを初心者向けと紹介している無責任な書籍といい勝負です。

詳しくはコンデンサについての記事に書いていますが、無極性電解コンデンサは単純に性能が悪くなるだけなので、ここはフィルムコンデンサを使ってください。数段高性能になります。

そしてオペアンプに入力されるのですが、個人的にはおまじないの保護抵抗が欲しいところですね。信号ラインに数kΩを直列に入れるだけですが、発振防止に貢献してくれます。ただし、オペアンプのデータシートを見て最適な数値を求める必要があります。適当に1kをぶっこむとかでは逆効果です。

C6は発振防止用コンデンサと思って大丈夫です。

そしてダイオード群はLEDではクリッピングが鋭すぎると感じたのか、1N914と組み合わせて、やや緩やかなクリッピングにしているみたいです。

この辺りはよりハードなクリッピングが欲しければLEDのみにするだったり、他のダイオードを試してみたりすると楽しめると思います。

R7は最小のゲインを決めています。ここを3kにしたり50kにしたぐらいでは、さして影響は無いのでゲインの最小値を調節したいなら定数変更すると使いやすくなるかもしれません。

C4,R6はフィルター回路を形成しつつ、R4では増幅率を決めています。1kはかなり小さいですね。

1M+10k/1k=1010

なのでオーバードライブにしてはトップクラスの増幅率です。

しかしその分ノイズが大きくなってしまうのは考え物です。せめて500倍までで、クリッピングダイオードの閾値で対応してほしいものですね。

SBDあたりを使えば近づけられそうです。

R6は半固定抵抗にする、というのは扱いやすくなりそうな改造です。5kぐらいにしておいて、クリッピングダイオードもスイッチで切り替えられるようにしておいて、TSまでカバーできてしまう万能オーバードライブに、というのも面白そうですね。

トーン回路

もろTSですよね。TS系とは言えど、ここまで丸パクリなのも珍しいです。

ですが変に定数を弄ったりするより幾分か優れていると思います。

TS自体かなり完成度の高いエフェクターですからね。BOSSに並ぶ優秀な設計です。

しかしC8がNPとは果たしてどういう意図で書いたのかで評価が変わりますね。どちらにせよここもフィルムコンデンサで大丈夫です。TSはタンタルですが、あれは当時のフィルムコンデンサの入手性とかの都合上でしょう。

変更されているのはVR2がTSの20kWから25kBに変更されているぐらいですかね。どちらが良いとかは無いですが、本家TSのトーン回路が扱いにくいと感じるならBカーブはお薦め出来ます。

しかし、あまり歪ませると高調波が出てくるので、高域をカットするトーン回路の1つでも付けたくなってしまいますね。

まぁ試作はしていないので分かりません。

トーン回路の詳細は長文になってしまうので、チューブスクリーマーの記事をご覧ください。

出力部

説明する意味があるか微妙ですが、一応です。

とりあえずC9は絶対フィルムコンデンサにしましょう。

VR3で信号を取り出した後、バッファ回路を通って出力、とこちらもTSのままです。

C11はR18を100kにして0.1μ以上のフィルムコンデンサにしてしまった方が良いでしょう。もうフィルムコンデンサも安く手に入る時代ですからね。

ファズフェイス等の古い回路のエフェクターを使う場合は、タンタルコンデンサに変更してください。1μもあれば十分です。

電源部

電源部の回路まで真似ているおかげで比較的水準の高い電源回路ですね。

個人的にはまだ不十分なので多段のノイズフィルターを増設することをお勧めします。

それにしても、なぜ電解コンデンサの方が先なのでしょうか。順番を入れ替えるだけで電解コンデンサが逆接続から守られるのでD1は電源のすぐ横にするべきだと感じます。

そして電源のインピーダンスが高いので0.1μのセラコンを追加してください。オペアンプのなるべく近いところに配します。

回路自体はR3とR4で分圧して中間電圧を取り出す、というよくある回路です。

問題の回路

さて、ここからは自作初心者の方には少々苦行かもしれません。

まず初段のオペアンプ、クリッピング回路を見てみましょう。

よくある負帰還回路ですね。しかし回路全体を貼ったのには理由があります。

歪み回路だけでなく、周辺回路も含めて見るとR9とR11が中間電圧の揺らぎを生み出します。

そしてそれがR8を通して、オペアンプの入力へと戻っていく正帰還が働いている、というのはなるべく簡単に書いてみたんですがどうでしょうか。

BIASと書かれている所を線で繋いでみると分かりやすいです。

完全な負帰還がかかっているから必ず安定というわけでは無く、気を抜くとこういった箇所でミスしてしまう良い例ですね。

それで、このままでは正帰還と負帰還が拮抗するような状態になってしまいます。

一方で、VR3はVolumeですが、GNDではなく中間電圧に接地されていますね。そこで摺動子が少しでも接点不良を起こすとどうなるでしょうという話です。基本的に自作する方、中小メーカーレベルであればボリュームの摺動耐久が並程度(alphaポッドなど)の可変抵抗を多用するので、十分接点不良が起こりうるのです。少しでも接点不良になった瞬間、正帰還になってしまうという非常に不安定な回路なんですね。

以前何度かDODの動作が不安定、とお問い合わせを頂いた事がありますが、多分これが原因だったのではないかと思っています。他に入出力バッファも疑わしかったのですが、その方とは途中で音信不通になってしまいました(;^ω^)

何はともあれDODは名機と崇められているので古い個体は残りやすいでしょう。もし実機が、出回っている回路図通りであれば、古い個体から可変抵抗の劣化で不具合を起こしそうです。

他にも負帰還が中間電圧に繋がっているので、0.22μのコンデンサに少しでも漏れ電流があろうものなら正帰還側に傾きます。

ライブ会場で、不安定で綱渡りのようなエフェクターを使っていると考えると、私なら耐えられません。いつ異常動作するか分からないものを、いつでもアンプで大音量で鳴らせるようにしているわけですから、まぁそういうことです。冷や汗ものですね。

ちなみにこれは以前頂いた質問の答えでもあります。返信の内容も含めると分かると思うので、これで回答とします。

ところで、漏れ電流の少ないと言われているフィルムコンデンサやタンタルコンデンサとて、完全に漏れ電流が無いわけではありません。

製造工程で不純物が入ることは勿論、微小な気泡や割れが入ってしまう事は避けられませんからね。

コンデンサは絶縁体であることが理想ですが、実際は超高抵抗なので設計する時は微小なリークまで含めて考えるものです。

そんな事まで気にしないのがエフェクターの設計という風潮ですが、性能を求めるならぜひこちらに慣れて頂きたいところです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

あんまり設計ミスを指摘していると愛用されている方から反感を買いそうですが、まぁ嘘を書くわけにもいかないのでご了承ください。

ハイゲインオーバードライブが欲しいという事であれば、DODはかなり改造も楽しめるエフェクターなので比較的おすすめ出来ます。

バッファ搭載のオーバードライブにTSがありますが、さすがにローゲインのオーバードライブばかり手元に残ってしまうのも困ってしまいますからね。

そろそろバッファの勉強も兼ねて自作したいなという時にはぜひ作ってみてください。

最後まで読んでくださってありがとうございました(^▽^)/

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コメント

  1. アバター 神保町太郎 より:

    早速読ませていただきました。今日も勉強になる記事でした!

    と同時に、喉のつっかえが取れました!ありがとうございます。

    なるほど、バイアスに落とすとこんな風に正帰還が起こる…言われてみればそうですね。理屈も含めてよくわかりました。

    それにしても、ほんと、完璧な設計て難しいんですねー。やっぱりパクリは理屈分かってないので問題点に気づかないんでしょうかね。

    勉強勉強!

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