【設計ミス】minimichine あをによしの回路図とレビュー

設計ミス

今回はminimichineという製作所のあをによしというエフェクターについてレビューしていきます。

結構マイナーめの製作所ですが日本の製作所で、知ってる人は知ってる、そんな製作所です。

現在は活動休止しており、minimichineのエフェクターは常に品薄で中古品でもほぼ定価で取引、中でもあをによしというクリーンブースターは定価一万円程ですが、定価より少し高いか時には2万円~3万円というプレミア価格で取引されている品です(;^ω^)

プレミア価格で取引されているだけあってどのエフェクターも評判がいいという珍しい製作所だったりします。

現時点ではデジマートでも売られていないので手に入れるとしたら中古しかないでしょう…

※あをによしを含む品薄なエフェクターを購入しようと検索をかけたときショッピングサイトがヒットしますが高確率で詐欺です。URLが.xyzなどで終わっている場合は詐欺サイト確定なので購入前にしっかり注意しましょう。

他にも支払方法がクレカのみだったり、楽天のフォームが切り取られて使われていたり、会社の住所が実在しなかったりでも分かります。

(私が購入直前でギリギリ気づいたことがあるのは秘密です。というか品薄なのに聞いたことも無い通販で売られているとかよくよく考えると胡散臭すぎますよね。反省です…)

というわけで、そんなあをによしを手に入れる機会があったので早速レビューしていきます!

見た目

外見は工夫されていておしゃれですね。

白塗装の上に和紙を乗せてアクリル板で挟むというアイディア感溢れるデザインです。和紙が良い味出しています…

しかも和紙の色は全て違うそうで、オンリーワンな感じもいいですね。

アクリルを天板にするとLEDの光が縁で反射して綺麗なので、一時期私もやっていました。アクリル板の下にレタリングシートでロゴやイラストを張って、上からアクリル板を乗せれば塗装しなくていいので綺麗で手間が省けるという一石二鳥です。

話が逸れましたが、そもそもminimichineはかわいいエフェクターをコンセプトにしているそうで、かなりデザインに力を入れています。

エフェクターは無骨だったりカッコいい路線だったりが多いですが、これなら女性受けもいいんではないでしょうか。

外箱も雰囲気があり、デザインに力を入れているだけあります。

これはLEDとフットスイッチが無いタイプですが、逆に有りタイプもあります。LEDありタイプならアクリル板の縁が光って綺麗になるんじゃないでしょうか。

ちなみに「あをによし」という名前は奈良にかかる枕詞から来ているそうです。奈良の製作所だからだそうで、こういうネーミングセンスは結構好きです。

シンプルなクリーンブースターです。

ツマミ後半からは単体でも少し歪みますが、商品説明の通り癖もなく使いやすい音だと思いました。

キャラ濃いめのEPブースターとはまた違ったクリーンブースターですね。

実はあをによしはUNIZON SQUARE GARDENの斎藤宏介さんと田淵智也の使用機材でも有名だったりします。

斎藤宏介さんはボードを一新した際に取り払ってしまっていましたが、田淵智也はまだボードに入れているんではないでしょうか。

プロの現場でも使える音ということですね。

音量の調整幅もそこそこあって悪くないです。

ですが私は特にトーンの効きが好みでした。トーンの効き、いわゆる調整帯域ですが、ここは音響的にある程度当たりはつけられども好みは人それぞれなので本当に難しいです。

なんなら回路設計の中では人の感覚と密接に関わっている部分ですので一番難しいまであるんではないでしょうか。

それが私にはドンピシャでした…

他の記事を見て頂ければ分かると思いますが、事実しか書いてない分どうしても辛口レビューになってしまう傾向にあります。

トーンの効きにはセンスを感じますね。単なる私の好みですが(;^ω^)

しかし問題もあります…

何やらツマミを回すとザリザリガリガリ…

これはちょっと…

ライブ中に回すことはありませんが、だとしてもどうなのかなというレベルです。

音は結構良かっただけに、ここはマイナスポイントです。

回路について

一応解析のために回路図を書き出しました。ほぼ設計ミスと言って差し支えない設計でした。まあエフェクターにはよくあることなのでどうということはないです。

詳しくは伏せますが、信号増幅回路なのにスイッチング素子を使うという素人さんならではのミスだと思います。

影響を受けたのはスーパーハードオンですかね。前例があるから動作するだろう、程度の設計だと思います。

そもそもSHOは動作原理が少々難しく機材を壊してしまったり聴覚に悪影響が出てしまったりする可能性もあるので、電子工学を学んでいなければ難解な回路なので真似するのはおすすめ出来ません。

SHOは別記事にまとめているのでご参照ください。

それでスイッチング素子?どゆこと?って感じの方もおられると思います。

SHOの記事にも書いた通り、本来オーディオ用途ではなく制御用のスイッチングFETが使われているのがSHOの特徴ですが、動作原理は単なる増幅とはまた違った回路なので、中途半端に回路の知識のある人にはただの増幅回路に見えてしまい今回のようなことが起こるのです。

実はこれはあをによしに限った事ではなくこういったブースターは他にもあります。SHOの影響でしょうね。

それで、単なる増幅回路として解釈して設計すると発振してしまうので発振防止用でコンデンサーを入れることになりますが、本来オーディオ用ではないスイッチング素子を増幅回路の素子として使うわけですからべらぼうに発振してしまうわけです。

となると発振防止用のコンデンサーはかなり大きな値にしなければならず、普通はほぼ影響のない程小さな値ですが、がっつりフィルター回路が出来てしまい音に影響してしまうというわけです。

それがいい影響ならいいんですが、あをによしの場合発振防止用に0.001μfが二つ入っていて、可聴域の上限がやや落ちるといった具合です。

発振防止用にしてはかなり大きな値で、本来もう少し小さな値にしたいはずですが発振が怖いのでこの値に落ち着いたという感じでしょう。

ここはフィルター回路としての影響が大きいので音響特性の良いフィルムコンデンサーを使用したいところですが、セラミックコンデンサーが良いでしょう。

こういうどっちつかずになってしまう点も良くない点ですね。

ちなみにあをによしはフィルムコンデンサーだったので少々詰めが甘いかなと思います。

あと二つほどミスがあったので解説しておきます。

・一つ目はツェナーダイオードの使い方です。

9.1V500mWという性能のツェナーダイオードが過大入力でFETが壊れるのを防止するためにゲートからGNDに向かって入っていましたが、このツェナーダイオードは過電圧防止と逆接続防止を一つで行えるので本来は電源回路に用いられるべきです。

ここで使われるのは適切ではなく、電極間の静電容量が大きいのでソースからゲートに高周波が戻る回路になってしまっています。

こんな感じの回路図です。

降伏電圧になることはほとんど無いですが、逆バイアスで使っているので若干ノイズが出てしまいます。

・二つ目はボリュームポットです。

ファズフェイスの記事でも解説しましたが、直流電流の流れる場所に可変抵抗は使ってはいけません。

興味のある方はファズフェイスの記事を参考にしていただければと思います。

簡単には直流電流のラインに可変抵抗を入れると扇動によるかなり大きなノイズが出てしまうので、オーディオ回路では論外です。

可変抵抗のデータシートには「残留抵抗」だったり「接触抵抗」と書いてある項目があるのですが、例えば5kΩだと10Ωぐらいです。これの変化の値は5Ωぐらいなので、あをによしの回路だと0.6mAほど流すと3mV程度のノイズが出てしまいます。

これがボリュームポットを回した時のガリの原因です。

9Vに繋がっている抵抗の両端の電圧が3V~4Vになる部分を調整することでリニアな増幅ができるので、このボリュームポットはゲインを調節するポットではなく、最適な動作点を探るポットということになります。

ここはSHOに似ていますね。

なので正しく設計し直すと、ブースターなのに増幅率があまり変えられないよく分からんエフェクターになってしまうので、別で音量調整回路を追加することになりますね(;^ω^)

と、こんな感じでしたが十分設計ミスと言えるレベルなんじゃないでしょうか。

この回路で増幅率を変化させられる範囲はかなり狭く、そこから外れると決してクリーンブースターとは呼べません。

しかもガリが仕様というのは試作なら分かりますが、販売元の誠実さに疑問を感じます。

回路としては微妙でしたが、エフェクターの個性を出すという風にも解釈しようと思えばできるので、やはり購入者側にもリテラシーが求められる所ではあると思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ガリノイズさえ気にならなければ個人的にはかなり音は好きなエフェクターでした。

トーンの効きは特によかったですね。

ただやはり製作所特有の回路の脆弱性があるのも事実です。

まあ一流メーカーを除けば結構な確率で設計ミスがあるのがエフェクターなのでこれだけ気にしても今更って感じではあります(;^ω^)

今は入手困難なminimichineのエフェクターですが、いつか活動が再開して他のエフェクターも試奏できる機会があればしてみたいなと思いました。

なにはともあれ音はどうなのかって話です。事実minimichineさんのエフェクターはどれも評価が高いのが証拠でしょう。トーン回路に関しては光るものがあるなと感じました。

皆さんもminimichineのエフェクターに触れる機会があれば試奏してみてはいかがでしょうか。

最後まで読んでくださってありがとうございました(^▽^)/

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