製作日記24 BOSS TR-2のRATE MOD

製作日記

最近ぼちぼち製作依頼を引き受けたりしています。ぷらむです。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

私は最近鍋にはまっておりまして、ここ数か月鍋ばかり作って食べています。最初はキムチ鍋とか凝っていましたが、いつしか(結構序盤)白菜やらエノキやらを水で煮てポン酢で食べるという超手抜き鍋と化しています。しかもこれが結構おいしい上に食事時間が超短時間で済むので、食事は栄養を摂取するための行為と思っている方にはお勧めです。一応おいしい物が食べたい時は食事は楽しむものだと切り替えるので、ちゃんとしたものを作りますよ。ええ。

それはそうと、この間年が明けたと思ったら既に二月も半ば。最近時間の流れが速すぎやしませんかと思っています。死ぬまでにあと何台エフェクターを作れるんですかね。今までにも数えきれないほど作ってきましたが、実際問題作れる数は有限なわけで、相当長く見積もって一か月あたり5台の計算で20年製作依頼を引き受けたとして1200台程度です。

国内で少し有名程度のメーカーの、しかも1種類のエフェクターの数年分のロット数しか作れないとは、ちょっと驚きです。

そもそも一か月5台って私にしては多い方ですし、一台も作らない月も当然あるわけで、20年も続くとは少し考えにくいわけで、1000台にも満たないんじゃないですかね。一見多そうですが、一人1台購入してもたった1000人です。

寿命的に限定1000台生産とはなかなかのインパクトですが、人生とは長そうで結構短いものです。製作依頼もそこそこに、自分用ももっと作って悔いが残らないようエフェクターを握りしめて天寿を全うしたいなと思いました。

BOSS TR-2のRATEを速くする

前置きもそこそこに今回は、以前Bugcrusherのご依頼でお世話になった方から、BOSSのTR-2のRATEを速くしてほしい、というようなご依頼を頂きました。

久々のMOD依頼ですね。

実はmyriadの募集中に頂いたご依頼でして、春まではmyriadの在庫分だけ作るに留めようと思っていましたが、MODぐらいならスケジュール的にも大丈夫そうという事でお引き受けした次第です。

まぁmyriadの部品が届くまで暇ですし、以前秋月さんで十数万円分のパーツを買ったというだけあって手持ちパーツで対応出来そうでした。

それで、BOSSのTR-2ってどんなエフェクターなのかと言いますと、要するにトレモロですよね。まぁ皆さんの方がこういった部分はお詳しいかと思います。

実は前機種的なものがありましてPN-2というのがそれにあたるそうです。当時はあまり世間に受けず廃盤となりましたが、その直後トレモロブームが来たとかでTR-2を新たに設計したとか。

下手にPN-2を復活させず、新規に設計するあたりBOSSらしいですよね。

TR-2の回路図がこちら。

まぁBOSSらしい堅実な設計です。

もう一つ、こんな回路図も出回っていますが、こちらは誤りです。R15が二つあったり、初段のFETが存在しない型番だったり、色々杜撰です。

Free Audio Service Manuals - Free download Boss TR 2 Tremelo Schematic
Read or download Boss TR 2 Tremelo Schematic PDF with 1 pages. No login, no charge and no limit.

ということで早速分解してみました。

実はRATEのMODと合わせてLEDをピンクに交換してほしい、というご要望があったので、手早く交換しておきました。

あと回路を調べている過程で、2006年以降はTR-2をONにしたときに音量が下がる問題を克服すべく、ICの近くに半固定抵抗が取り付けられているようです。多分帰還回路の抵抗を増やす事で低倍率増幅をしているのだと思いますが、このTR-2は基板をみてみたところ半固定抵抗はありませんでした。2006年より前に生産されたロットみたいです。

本題のRATEを速くする、というものですが、BOSSは使いやすいであろう部分にチューニングしているのでその動作点をずらすというのが主なMODになります。

TR-2のRATEを速くするMODはJHSもやっているそうで、依頼主様からはこの動画を参考に、と送っていただきました。この動画の3:40あたりからがRATEが速くなっています。

メーカーの中でも、JHSのような有名どころに頼むとどのくらい取られるんですかね。多分MODを依頼するのではなく、MODしたものを販売するのだろうと思いますが、調べてみると、

【楽天市場】JHS Pedal Mod Shop BOSS TR-2 Versa-Trem トレモロ: ワールドセレクトショップ
JHS Pedal Mod Shop BOSS TR-2 Versa-Trem トレモロ

39000円也。

TR-2は新品でも12000円ぐらいですからね。たかがMODで原価の三倍以上取るってどんな商売だよ、とは思いましたが、まぁ…。まぁ…ですよね。

そりゃ個人製作にも頼みますわなと思いました。

身近に電子工作が出来る方がいるなら、MOD程度はパーツ代金+ステーキのごちそう代5000円で事足りるので頼んでみてください。

一応もう一回貼っておきますが、主に弄るのは当然RATE、WAVE周辺です。そこでC20とC21を見てほしいのですが、電解コンデンサを向かい合わせに取り付けていますよね。結構珍しいと思いますが、これは無極性電解コンデンサを電解コンデンサで作っているだけです。まぁ便箋的に通り名になっている無極性電解コンデンサと書きましたが、回路図の通り、本来は両極性電解コンデンサと呼ぶべきものです。並みのエフェクター製作工房ですら無極性電解コンデンサがどうたらこうたらと書いているのを見ると、うーんってなりますよね。

詳細は省きますが、こんな内部構造なだけあって普通の電解コンデンサが使える部分に両極性を使うと逆に性能が悪くなります。もっと言えば両極性で良い=フィルムコンが使えるわけなので、それこそフィルムを使うと更に高性能化出来ます。そもそもBOSSの場合2μのフィルムコンはコスト的に却下、両極性もコスト的に却下となった末の電解コンデンサ組み合わせだと思います。

こういった特殊な事例でもない限り両極性は使わないので、単純な回路の歪み系なんかで緑色の電解コンデンサを使っているメーカーはちょっと気を付けた方が良いです。あとこのところ色々解析しまくっているおかげで地雷メーカーの見分け方らしきものが見えてきました。流石に営業妨害で訴えられたくはないので記事にすることは無いと思いますが、多分どこかのやり取りで書いた気がします。

それで、MOD作業を進めていくわけですが、今回は元の速度にも戻せるよう半固定抵抗を使いました。

あとは計算するより実際に調節しながらという方が確実かつ、思い通りに調節出来ますからね。

今回は実用的な範囲で限界まで早くしておきました。RATEは最大まで早くすると繰り返すスピードが上がるわけですから、音が繋がってやがて原音に近い音が出音されます。近いというのは、繰り返す事によってのノイズも繰り返されるので、あまり早くしすぎて原音に近づくとキーンというようなノイズが出てしまいます。その辺は良い塩梅にしなければなりませんね。

注意点としては、RATEを速くする方向に振り切りすぎると音が繋がって、半固定抵抗の回す向きが原音に近づく方向かと勘違いしてしまう事が懸念されます。回路がまだよくわかっていないながらMODするとこういったところでドツボにはまるので、要注意です。

あとは原音が繋がるのでDEPTHを深くし、端切れを良くするというのも効果的だと思います。今回はRATEのみなので手は付けませんでした。

そしてここからはお節介というか、なんというか、まぁ良く言えば繊細、悪く言えば神経質なのが私の性分なので、件のコンデンサはフィルムに変更しておきました。

2μなどという大容量フィルムコンを用意せずとも、今回はRATEを速くするのが目的なので1μといった普通に手に入る容量のコンデンサが使えます。

調整用の抵抗は半固定にしているので調節も楽です。

一応、いらんことするなよと言われたら、すみませんすみませんと言いながら速攻で直せるよう、元々付いていたコンデンサのマイナス側は基板に取り付けたままで、プラス側のリードは基板から抜いてテープで絶縁しておきました。プラス側のリードが刺さっていたホールにフィルムを突き刺してはんだ付けすれば、比較的簡単に取り付けられます。

まぁこれぐらいでMOD料金加算なんてことはしません。製作工房の相場はパーツ交換で4000円とかいくらしいですが。

そして肝心の気になるMOD料金、なんと6900円也!まあ安いのか高いのかで言ったら安いとは思います。というか製作依頼のように一から作るわけではないので、流石に1万とか取るのは気が引けますよね。

あと某フリマでの取引なので一割引かれ、送料はコンパクトボックスなので380+75円引かれ、実際手元に残るのは5000円ちょっとです。

回路図を探して、MOD内容を考えて、そこから分解してはんだ取り除いて部品交換して、お節介焼いて(お?)と、考えるとまぁ大した利益はありません。そもそもMODならまだしも、製作依頼はものによっては一から回路設計をして基板も設計して、ケースも加工して…3万以内に収めるというのは我ながらなかなか愚かな事をしていると思います。

回路設計で10万、基板設計で5~8万とかざらですからね。しかもそれをメーカーのように一度設計したものを永続的に販売するならまだしも、私の場合その人専用として設計するわけなので使い回しすら出来ないわけです。ニッチなエフェクターなら尚更。更にメーカー品以上の性能は約束しているみたいなところがあるので、自分で言うのもあれですが、なかなかの事をしているなと思います。実際そんな事しているメーカーとか無いですよね。まぁ色々書きましたが、私のブログなので少々のボヤキは許されるでしょう。

これが20年続くとはどうにも思えませんよねー…

原子力発電機構搭載の私のアンドロイドでも作れば話は別ですが。

それでいくつか相場も調べてみましたが、まぁ結構いいお値段です。

エフェクター修理&モディファイ - TOKYO EFFECTOR
https://camuro.co.jp/custom-order

そもそも私の目的は自作を広める事でして、正直なところ私に依頼するのもそれはそれで嬉しいは嬉しいですが、良かったら自作をしてみて欲しいなぁというのが本音ですよね。

まぁ難しい部分もあるのであくまでお勧めです。

そんなこんなでJHSみたいにツマミも変更してほしいとの事だったので、付け替えて取り外したやつはジップロックの小さいやつみたいなのに入れて梱包して完了です。あの袋の正式名称なんなんですかね。普通にチャック付きポリ袋とかでいいんでしょうか。

なかなか良い感じに仕上がったと思います。それにしてもRATEを最大にすると若干Bugcrusherを彷彿とさせると言いますか、なんだか別物の飛び道具としても使えそうだなぁと思いました。結構面白い使い方が出来そうです。

それではまた次回。

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