今回は修理依頼です。製作依頼よりは少ないですが、たまにあります。
依頼されたエフェクターはRockboxのboilingpointマーブルカラータイプです。歪みエフェクターで、修理内容はしばらく使っているとLEDが消えてしまうという症状です。
頂いた依頼としてはLEDの交換とのことでしたが、症状を聞いた感じLEDの問題では無いなと思いました。
自作を嗜んでいる方ならLEDを交換して~とやってしまいそうですが、症状的にそう簡単にはいかないでしょう。ご依頼くださった方は私でなくとも誰かに依頼するという手段をとるのは正解だと思います。
症状
裏蓋を開けて基板を見た感じ目に見える問題は無さそうです。(写真を撮り忘れていました)
でも、おやおや、私の推奨していないカーボンコンポジット抵抗があるではありませんか。さも意味ありげな配置ですが、実際のところただ単に性能が悪いだけなので私なら全部キンピかカーボン抵抗にします。まあ依頼品なのでそんなことは出来ませんが(;^ω^)
しかもオペアンプもソケットですね。接点が増えるのでソケットも推奨していません。一流メーカーがソケットを使っているか否か見ると、まあそういう事です。
一応動作確認のため電源に繋いでアンプとギターも繋ぎます。
LEDはちゃんと光っていますね。
ただインプットジャックを電源スイッチとして使っているようで、私の推奨していない方式をとっています。プラグを挿す時に一瞬ですがジャックのコールドとプラグのホットが触れてしまって前の機器やギターに9Vがかかってしまうので良くないんですよね。
このタイプはINにプラグを挿さないと電源が入らないのでもしかしてそれのことを言っているのかなと思いましたが、聞いたところによるとスイッチャーに繋いでいるらしいのでその可能性はありませんでした(;^ω^)
まあそう簡単には行きませんよね。
30分程度使っているとだんだん暗くなってくるらしいので、その間製作日記4で紹介した机の製作をしていました。
20分ぐらいになって一旦見に行くとなんだか暗くなっているような…
また作業に戻って30分経った頃再度見に行くと完全にLEDが消えていました。
ふむふむ…
これは回路の問題ですな…
そもそもエフェクターに使われる砲弾型LEDの寿命は10,000時間とLEDの中では比較的短命ですが、それでも数十年使ってやっと壊れるかな、というレベルです。
EP boosterのようにLEDに小細工をしているならまだしも、普通LEDの不調でこんなことは起こりません。
というわけであらかじめ探しておいた回路図を見てみます。
検索かけた時にちらっと実機の価格も見てみましたが現行版の新品は36000円、中古でも20000円と結構お高めのエフェクターでした。送られてきたのはマーブルカラーなので初期型(?)とかだともうちょっと高いんですかね…
これがその回路図ですが、LED部分まで記載されていませんね。残念!
典型的なTS系ですがダイオードの入り方が少し変わっていますね。その割に出音はゲインを上げるとディストーションぽくもなったりと面白いエフェクターでした。
まあ回路図があった方がやりやすいというだけなので、無くても大丈夫です。しかも今回はLEDの不調と、エフェクター本体の回路の不調では無さそうなので測定して直すのが手っ取り早いです。
多分問題があるのは電源の入力から電源回路、LEDのアノードの間です。
LED本体の不良が原因で途中から波長が変わって可視できない光線、いわゆる赤外線になっている説もありますが、ほぼ無いでしょう。もしそうだったら珍しいのでコレクションに入れます(;^ω^)
作業
まずは逆接続防止用ダイオードの電圧を測っていきます。
9.39Vなので正常ですね。
次にLEDをチェックします。
ピッカピカでした。壊れてません。
というわけで次に疑わしい(というかこの時点でほぼ犯人確定)のLEDの保護抵抗を測定してみます。
保護抵抗の両端の電圧を測定するとLEDが点灯している状態で6.8Vでした。そして消えた状態だと7.4Vまで上がっていました。つまり抵抗値が高くなったということです。
次に抵抗値も測定してみます。
47k!?
カラーコードは4.7kなのに47kとはなかなか凄いですね。はんだの不良説も疑っていましたが、どうやらこの抵抗が壊れているようです。
カーボン抵抗含め、皮膜抵抗は抵抗体に切れ込みを入れて抵抗値を調整したものをキャップで挟んでいるという構造です。
キャップと抵抗体に隙間が出来てしまうとこういったことが起こります。
半田を吸い取って4.7kに変えました。
初めに動作確認した時よりだいぶ明るいですね。これが本来の明るさなのでしょう。
というわけで修理完了しました。
あとは依頼者様に送って完了です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
あんまり無い修理内容でしたが、LEDに限らずどこかが不調になったら広い視野でその周辺も疑うようにしましょう。
決めつけて作業すると迷宮入りします(;^ω^)
最後まで読んでくださってありがとうございました(^▽^)/
コメント