あれ、このブログ初心者向けって書いてあったけどオームの法則解説してなくないか?
と、このブログを作って多分8ヶ月とかになる今日この頃ふと思ったので解説してみようと思います。
一応オームの法則は高校物理で学習しますが、改めてオームの法則とはなんぞやという話をしていきます。
本当に電気回路初心者だとオームの法則も分からないものですよね。
オームの法則とは
V=RI
以上です。
では不親切極まりないですね。
Vはボルトの頭文字で電圧。単位はV
(電池とかだと起電力という意味でElectricのEで表される時もある)
Rがレジスタで抵抗値。単位はΩ(オーム)
IはIntensityという電流の強度を表す時の単語の頭文字ですが、電流と覚えて大丈夫です。単位はA(アンペア)
それでどういう式なのかはご覧の通り、電圧は抵抗値と電流の積に等しいですよという式です。
そしてこの関係式を使えば、電圧、抵抗値、電流の内2つが分かれば残りは導き出せるという事になります。
例えば電流を求めたいなら、
I=V/R
で求められます。
V=RIの両辺をRで割って、RIのRを取る代わりにVがRで割られてしまうという感じです。
抵抗値を求めるなら、
R=V/I
となります。丸暗記している人も多いですが、単なる式変形です。
電力
オームの法則と来たら電力を求めないわけにはいかないですね。
エフェクターの設計に電力求めることとかあるんか?って思うかもしれませんが、定格電力を超えると大抵のパーツは普通に燃えるので必要ですよ。
W=VI
Wは電力で、ワットの頭文字です。単位はW
Pと表される時もあるんですが、W=VIと書かれるのは単位がWなのでそう表されることが多いです。電力の量記号はPなので今回はP=VIで行きます。
これもオームの法則のように、
I=P/V
V=P/I
といった感じで求める事が可能です。
さて、ここで電力を求めたいですが、抵抗値と電流は分かるのに電圧が分かりません。
困りましたね。(茶番です
どうにかならないものか。そんな時は習った事を思い出しましょう。
V=RI
P=VI
これらの公式の内、Vが分かりません。
でも電流と抵抗値は分かります。
という事はオームの法則から電圧が求められますね。
〇=RI
P=〇I
とでもすれば分かりやすいでしょう。〇の箇所に当てはめるだけです。
つまりP=RI×Iになるので、P=RI^2で求められます。
逆に電流が分からなくても、電力は求められます。
P=V×V/Rなので、P=V^2/Rとなります。
ちなみに電力に関連して、電力量というのがありますが、電力とは違います。
電力量Wは単位がJ(ジュール)なのでJ=Wsなどとされている事もありますが、今回はWが電力量とします。
W=Pt
になります。
電力量は電力に時間t秒を掛けると出てきますよという式です。これも式変形すれば1箇所が分からなくても導く事が出来ます。
実際の電力
高校物理をちょっとはみ出します。
多分電気屋さんレベルですかね。
電力は電圧と電流を掛けると出てくるというものでしたが、果たして本当にそうなのか?
という話です。
先程の話は直流かつ、理想的な抵抗の場合の話です。
アンプやエフェクターに流れるギター信号は振幅しているので交流ですし、なんなら家庭のコンセントも60Hzや50Hzと交流です。しかも抵抗だけではなくコンデンサやコイルを使ったりするわけです。単純にはいきませんよね。
例えばとあるアンプの消費電力を求めたかったとします。
日本の一般家庭のコンセントは100Vなので、電圧は分かりました。
じゃあ電流を測定すれば分かっちゃう!
ふむふむ、2A流れているから200Wだな!
みたいな事をするとアウトです。
実際には力率というのが関係してくるので、100V×2A×力率=Pとなります。
例えば力率が0.8だとすると、
200×0.8で正解は160Wです。
ちなみに残りの40Wはどうなったんだよというと、ちゃんと電流は2A流れているわけですから仕事をしていない無駄な電流が流れているとでも考えてください。そんな穀潰し電流はなるべく減らしたいですよね。だから力率改善するために色々努力したりしているのが電気屋だったり電力会社だったりします。
話を戻すと、1500Wまでしか対応してない電源タップに概算のみで力率の悪い自作アンプだったりを繋いだりすると、電源タップは火を吹いてぶっ壊れる事もあるわけです。昔はVA表記だったんですけどね。W表記はやめた方がいいかなと思ったりしています。
自分で作ったアンプやエフェクターの消費電力も求められないのは如何なものかという話もありますが、それ以前に発火事故なんで事にはなりたくないと思うので、力率についても学んでみてみてはいかがでしょうか。
まぁなかなかそんな火事なんて事にならないとは思いますが、力率の悪い部品を使うと電流が大食いになってしまって供給側の能力不足で電流が供給できないという事は結構あります。そうなるとまともに動作せず困ったことになってしまうわけです。知っていなければ原因は突き止められないですからね。
力率については長くなるので別記事で解説しようと思います。
力率っちゅうもんがあるんやな、程度で覚えて帰ってください。
抵抗値の計算
まだまだ続きます。
抵抗の計算はエフェクターの設計で息をするように使うので基礎中の基礎です。
まずはこちら。
何Ωになるでしょうか。多分高校物理では習う範囲です。基礎だと習わないかもしれません。
正解は4kΩです。
単純に足し算するだけですね。
抵抗器が直列の場合は足し算です。
ちなみに直列の回路では、回路に流れる電流は一定です。つまりR1の上側を測定しようがR1とR2の間を測定しようが、どこを測定しても同じ電流が流れているというわけです。
一方で電圧は抵抗それぞれで分圧されています。R1とR2の両端を測定すると、それは電源の電圧を測定しているようなものなのでお察しの通りですが、R1だけの電圧を測定すると電源より小さい電圧になります。
V=10V、R1=2Ω、R2=8Ωとすると、
合計の抵抗値は10Ωなので、全電流は1Aになります。
そこでR1のみに注目すると、
V=2Ω×1Aとなり、2VがR1にかかっている電圧です。
残り8Vは同じ式でR2に8Vかかっています。
ちなみにこれは割合の話でもあるので、
V=10V、R1の電圧は3V、の時R2の電圧はなんでしょう。
と、電流が分からなくとも抵抗が2本しか無いのだから、
10−3=7Vとしてしまえば抵抗値に関わらず答えが出てしまいます。
これがエフェクターでよく見られる分圧回路です。極論、取り出す電圧をずらしたい時は抵抗値が何であれ抵抗の比率が合えば任意の電圧が取り出せます。
続いて第2問。
同じく何Ωでしょうか。ただし今回は並列になっています。一応習ったことを思い出すと答えらしきものは見えてきます。
正解は1kΩです。
なんでやねん案件だと思いますが、まぁ以下の説明が納得出来る理由になると思います。
並列回路の場合、電圧は負荷(抵抗)に対して等しくかかり、電流は負荷に対して分流、つまり分かれていきます。
少し簡単にするために、先程の回路の電圧を10V、抵抗値を2Ωとします。
それぞれの抵抗に流れる電流は
I=10/2=5Aだと分かります。
そして電流は並列回路の場合分岐するので5A+5Aで合計10Aとなります。
これがこの回路の全電流。
求めるのはこの回路の合計の抵抗値なので、
R=10/10=1Ω
となるわけです。
どうでしょうか。納得して頂けたと思います。
しかし回路が複雑になると、いちいちこんな計算はやってられません。
なので便利な公式があります。
直列回路の場合、R1+R2+·····と抵抗があるだけ続いていきますが、
並列の場合1/R1+1/R2+·····とあるだけ続き、これの逆数が並列抵抗の値になります。
数字を当てはめると、
R1=4Ω、R2=4Ωの場合
1/4+1/4=2/4となり、逆数にすると4/2Ωとなり、答えは2Ωになります。
便利な公式ですね。
ちなみに抵抗値が大きくなると、普通に計算しようとすると公倍数を見つけなければ計算しにくくなります。
なので、分母同士を掛け合わせ、分子にもそれぞれの分母を掛ける方法をとります。
例えばR1=6732Ω、R2=2946Ωとすると、
1/6732+1/2946=
=(1×2946)+(1×6732)/6732×2946
=9678/19832472
=19832472/9678
=2049.2324·····
となり、約2049Ωである事が分かります。(適当に数字を打って計算したので計算途中に若干後悔しました)
公倍数探すのがめんどくさいから分母同士を掛け合わせて、互いの分子に分母掛けたろ、という思惑です。
まとめ
ところで↑で学習した並列回路はエフェクターだったりの電子回路の至る所にあるというか、基本的に9割方並列回路です。
という事は基板から抵抗を取り外さず測定すると、ふむふむR1って書いてあるこの抵抗は2049Ω(←ニッチすぎ抵抗)かぁ·····と思ったら実は6732Ω(←ニッチry)でしたぁ、とか十分あります。気をつけましょう。
まぁカラーコードが読めれば関係の無い話ではありますが、ビンテージリイシューエフェクターなるものに使われたり、ブティックに使われがちな我らが宿敵ポンコツカーボンコンポジット抵抗なんかは誤差が数十パーセントもあったりするので、そういう時は取り外して測定しましょう(熱で抵抗値が変化するというポンコツっぷり)というわけです。
こんな所で今日は終わりにします。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
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