今回は自作でも人気の高いPlexiToneの自作について紹介していきます。
個人的にこのエフェクターは少々思い入れのあるエフェクターでして、回路もある程度しっかりしているのでお勧めです。
昇圧回路を使ったりと、若干上級者向けなので、自作に慣れてきたころにぜひ作っていただきたい一台です。
パーツリスト
●抵抗
- 47Ω…1個
- 100Ω…1個
- 1kΩ…1個
- 2kΩ…1個
- 4.7kΩ…2個 LED用含む
- 22kΩ…3個
- 47kΩ…1個
- 1MΩ…2個
■コンデンサ
- 150pF…1個 セラミック
- 330pF…2個 〃
- 0.033μF…1個 フィルム
- 0.068μF…1個 〃
- 0.22μF…1個 〃
- 0.47μF…2個 〃
- 2.2μF…1個 電解
- 100μF…2個 〃 三端子レギュレータの場合必要
- 470μF…4個 〃 〃
本家の回路ならこの定数で構いませんが、チャージポンプICを使うなら電解コンデンサは変更しなければいけません。
★可変抵抗
- 5kB…1個
- 5kA…1個
- 100kB…1個
- 500kB…1個
- 1MB…1個
▲半導体
ダイオード
- 1N4001…1個 末尾はなんでもOK
- 赤色LED…4個
本家の回路では交流電源をトランスを通してダイオードブリッジで整流、みたいな感じなので整流用のダイオードが4本必要なんですが、多分やる人いませんよね。
本格的な方は整流用にダイオードが4本必要です。
IC
- LF347…1個
さてこのICはなかなか困ったもので、4ユニット入りオペアンプなんですが、電流性雑音はやや強いものの、電圧性雑音は相当悪いです。
どうせなら2ユニット入りのJFETオペアンプにしてみてはいかがでしょうか。なかなかオペアンプに直結はしたくないので、バッファはトランジスタかFETで作り、オペアンプ内の3ユニットを信号回路に、残った1ユニットは電源にでも使ってみるとかですかね。
昇圧IC
- LT1054など…1個 ±18Vを生成出来るなら何でも可
昇圧ICを使うなら電解コンデンサとダイオードが必要になります。下記にレイアウトを載せておくのでご確認ください。
見たところ100μFと10μFの電解コンデンサが3つずつと、1N4001が5本必要っぽいですね。
あまりスイッチング周波数高くないICだと可聴域に降りてくることがあるので、1μFの電解コンデンサも5個ぐらいあると安心です。
三端子レギュレーター
- NJM7812…1個
- NJM7912…1個
三端子レギュレーターの方法なら既に書いてある部品で間に合います。
念のため書いておきますが、昇圧ICか三端子レギュレーターのどちらか片方しか必要ないので、間違えて両方買わないようお気を付けください。
まぁあって困るものではないですけどね。
その他ケースやツマミ、ジャック類、スイッチ類等買い忘れの無いようにしましょう。
基板レイアウト
ちょっと画質が悪いので頑張って見るしかないですね。
こちらのレイアウトなら小型なのでよさそうです。
しかし三端子レギュレーターを使ったレイアウトが無いんですよね。
まぁ回路図がレイアウトみたいなところはあるので、自分で設計してしまって良いと思います。
一応昇圧ICを使うなら、データシートと見比べながら作りましょう。回路例が書かれているので、そのまま真似してOKです。
回路について
Plexitoneはわざわざ回路解説をするほどでもないので、今回は省きます。
しかし私ならこうする、という改善点が無いわけではないので紹介しておきます。
検索すると一番最初に出てきた回路図です。他も大体同じような回路図なので、これでいいでしょう。
ある程度しっかりした回路なんですが、所々疑問を抱く設計です。もしかして回路を解析した方が読み間違いをしたのではという箇所もあったり、致命的にノイズが出てしまう回路も見受けられますね。
まず電源は12V以上を確保しなければなりません。18Vに昇圧しただけだったり、±9Vでは正常な動作になりません。
さて、入力側からC7はR1とローパスフィルタになっていますが、カットオフは可聴域外です。
無線帯域のカットを意識したものでしょうから、これはR1の右側ではなく左側に付けるべきもの。どうせならインプットに直付けしてしまってください。2通りの容量が記載されていますが、47pFです。
C8,R2のカットオフは0.7Hzと定数の意味が感じられません。0.01μFで十分です。
それからオペアンプを変更することについてですが、LF347の最大定格は±18Vです。9.6V程度が出る事を売りにした見当はずれなパワーサプライだったり、新品では9.7V近く出る角形乾電池を使うと定格オーバーです。
CRノイズフィルターで若干降圧するなど対処すれば問題ありませんが、出回っている基板レイアウトでは素人が設計したのか定格オーバーしています。
LF347はノイズの多いオペアンプなので変更したいところですが、他のオペアンプも大抵±18Vが最大定格なので、必ずデータシートをご覧ください。
次にC9とR3のカットオフは102Hzともろ可聴域です。本当にカップリングコンデンサのついでにトーンカットみたいな横着をしているんでしょうか。設計水準からそうとは考えられません。
解析した方の読み取りミスで、本当は0.33μFで、カットオフは10.2Hzの方がしっくりきます。
まぁ間違いではない可能性もあるので、好みで比べてみてください。
次にR4は本当に47Ωでいいんでしょうか。
クランチの時の増幅率は最大
100kΩ/47Ω=2127倍
です。ハイゲインで有名なDODですら1000倍で、しかもPlexitoneではこの後にも増幅回路が続きます。正気の設計ではありません。
本当は読み取りミスで47kΩでしょう。
しかしPlexitoneはいくつか回路図が出ていますが、全て47Ωという間違った抵抗値が書いてあるので、多分既にネットに上がっていた回路図を書き写したんでしょうね。よくあることなので、注意です。
それからセレクトスイッチは切り替え時にノイズが出てしまう設計です。この辺り意識しているメーカーは無いに等しいんですが、ライブ中にバチっという爆音ノイズは出したくないですよね。
簡単な改造ではロータリースイッチにしたり等ありますが、負帰還内での切り替えはやや複雑になってしまいます。せめて音質を意識して微弱信号用スイッチにするなりしましょう。
C11はフィルムの方がいいですが、サイズが許せば変更してください。
クリッピング回路後は反転増幅回路が2つ続いています。しかし珍しいことにバイパスにするとブースト回路を通る設計です。本当にアンプを意識したような設計ですね。
クリーンな音が欲しいなら、ケンタウルスのようにアウト側で切り替えるといいでしょう。
それとブースト回路は反転増幅回路なので、位相が反転してしまいます。後段の機材によっては不都合が起きるかもしれません。
最後にブースト回路ですが、ここも帰還内にスイッチがあるので切り替えノイズが発生します。この回路なら、例えばスイッチの1番と2番を高抵抗で繋げば切り替えノイズは改善するでしょう。
そしてブースト回路の出力にカップリングコンデンサが無いですね。他のオペアンプも使いたいことですし、R10の右側に2.2μF~4.7μFのタンタルコンデンサを入れ、コンデンサの右側にR11を繋げましょう。このR11も10kΩ~100kΩに変更した方がいいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
プロからの評判も高いPlexitoneですが、自作すればもうワンランク上のPlexitoneが手に入ります。しかし回路がしっかりしているエフェクターは人気の寿命も長いですし、評判も一味違いますよね。ケンタウルスやBOSSやIbnezeなど、本当に良いものほど生き残ってしまうものです。
このエフェクターはぜひ作って欲しいエフェクターの1つですが、初めて作るにはハードルが高めなので慣れてきたころに作ってみてください。
それから、特に電源部は工夫のし甲斐があります。内部抵抗の低い乾電池を組み合わせれば、ローノイズでかなり安定した電源も供給出来たりするんですが、やっぱり少数派ですかね(;^ω^)
最後まで読んでくださってありがとうございました(^^)/
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