今回はZendriveの回路について簡単に解説していこうと思います。
一時期Zendrive結構使ってる方多かったですけど最近はあまり見ませんね。個人的にかなり好きなエフェクターだったりします。
回路も面白いのでぜひ見ていってください(^▽^)
回路図
これがZendriveの回路図です。お察しの通りTS系ですね。ただ後半のトーン回路はJan Rayなんかでよく見る一般的なRCフィルター回路です。
それで、U1Aのオペアンプの負帰還にダイオードの他に2N7000が入っていますよね。これなんぞやって話ですが、勘のいい方は回路が分からなくとも予想できると思います。
そうですね、クリッピング用ダイオードとして働いています。
FETってダイオードになるの?と思うかもしれませんが、使い方によってはクリッピングダイオードのように使えます。逆にFETの使い方を知っている人だと柔軟な発想が無ければ思いつかないかもしれません。
そこがZendriveの面白い点でもあります。
テキサスインスツルメンツなんかのデータシートを見て頂ければ分かりますが、画像のようにFETのドレイン、ソース間には構造上PN接合によるダイオードが形成されてしまいます。
書いてある通り、そのダイオードの名前は一般的にボディダイオードと呼ばれています。昔の人は寄生ダイオードと言ったり、人によっては内部ダイオードと言う人もいます。
これをクリッピングダイオードとして使っているんですね。
あと特徴的な部分と言えばR6でしょう。
ここはVoiceという名前がついていますが増幅率だったりトーンコントロールだったりのマルチな役割をしています。
ゲインを最大の500kにセッティングしたとして、Voiceも最大の10kにすると50倍の増幅率です。
一方トーン回路は10k+1kと0.1μのフィルター回路が形成されます。
反対にVoiceを最小にすると、1kが残るので約500倍の増幅率になりフィルター回路は1kと0.1μのフィルター回路が形成される…というなかなか難しいツマミなんです。
いうなればTSの増幅とトーン回路が一つのオペアンプユニットで行われているという感じです。
この回路だと対象クリッピングなのでスイッチでダイオードを一本増やすように改造すれば非対称クリッピングも可能になります。
オペアンプは4558DDが使えるので性能を考えればそっちの方がいいですね。
それと可変抵抗の3番ピンや2番ピンが浮いていますが、可変抵抗が故障した時に音が出なくなってしまうので浮いている端子は一応2番ピンとはんだ付けした方が良いと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
オーバードライブの中ではかなり面白い回路の部類なのでおすすめです。
しかも音はあのロベン・フォー氏の折り紙付きなので間違いないでしょう。
最後まで読んでくださってありがとうございました(^▽^)/
コメント
初めてのコメント失礼します。
最近自作を始め、ぷらむさんブログをよく拝見して参考にさせていただいてます。
こちらで掲載されているzendriveを制作してみたんですが、どうしてもフルテンの状態にすると発振してしまいます。(シングルコイルピックアップの場合)
基本的にフルテンで使用する状況は考えにくいのですが、制作する以上どのような状況下でも発振したいように出来たらなと思っていて、いろいろと独自に調整してみているんですがなかなかうまくいかず、何か良い対応策はありますでしょうか?
前にもBBpreampのクローンを制作した際も同じような発振があり、その際は色々試した結果、レベルポット前に抵抗(その時は100~220K)を挟むことで発振を抑えたりしたんですが、根本的な解決策では無いような気がして釈然としていませんでした。。。
突然の不躾なご質問で申し訳ありませんが、お時間があるときにでも何か手掛かりを教えていただけたら嬉しいです。
まだまだ自作初心者で、電子回路の知識は全くないずぶの素人ですが、よろしくお願い致します。
いつもご覧いただきありがとうございます。
さっそくですがご質問について。発振の原因は様々ありますが、懸念されるのは配線の引き回しです。
なるべくGNDは最短距離で配線し、出来れば入力ジャックで一点アースも検討ください。
それから一番手っ取り早いのは、オペアンプの8番ピンと4番ピンに0.1μF程度のセラミッコンデンサを直付してしまうことです。
最後に、使われているMC1458というオペアンプですが、かなり古いオペアンプです。
ノイズの中から音が出てくるような、古い時代の音を楽しむなどの目的が無い限り、使用はお勧め出来ません。
NJM4580DDや4558DDに変更されるとよいでしょう。
早速、ご回答ありがとうございます!
オペアンプはコメント頂いたとおり、4580と4588を使っています!
GNDの引き回しに関しては、ネットなどに落ちている配線図など参考にしてましたので、ちょっと自分なりに試行錯誤してみます!
オペアンプ8と4へのコンデンサ直付は、たしかプラムさんのブログから以前記載があったので、前にセラミックコンデンサで試してみましたが今回はうまくいきませんでした。。。
またご相談などあるかもしれませんが、お忙しいところご回答ありがとうございました!!
突然のコメントにご丁寧に回答いただき、ただただ感謝です。
先日、ご教授いただいたアースの件、ユニバーサル基盤にアース配線を考慮しつつ組んで見たところ発振することなくフルテンの操作出来ました!
アースには自作を始めた頃から多々悩まされた部分でしたが、まさか発振にもアースの長さによる影響が出るとは思っていませんでした。。。
この度は、ご相談にご回答いただいて誠にありがとうございました。
今後もプラムさんの記事を楽しみにしております!
また何かあればコメントさせていただくことがあるかも知れませんが、その際は何卒よろしくお願いします。
いつも楽しく読ませていただいております.
ちょっとした疑問なのですが, Over Drive系の回路を見ていると, 初段の負帰還がかかっているところですが, Vrefに繋がっていることが多いと思います. この回路図の場合だと図の一番左上のところです. ここをGNDに落としてはダメなのですか?
あまりよくわかっていなくて恥ずかしいのですが, ご教授いただければと思います.
ご回答ありがとうございます.
プラムさんのMorning Gloryの記事で,
“C6コンデンサを電解し, C6のあるラインは電位差がないのでマイナス側をGNDに落とせ”
とありました. 4558DDのデータシートや商品説明を見ましたが, これかな?と思うことはありつつも, まだちょっとGNDに落とす場合とVrefに繋ぐ場合の差異について, はっきり理解はできていません. もうちょっと考えてみようかと思います.
いつもご丁寧にいろいろ教えてくださって本当にありがとうございます.
[…] 【解説】Zendriveの回路図Zendriveの回路について分かりやすく解説しています。面白い回路なので回路の勉強がしたい、という方にもおすすめです。自作する前にもご覧いただければと思い […]