【回路解析】nature sound 40000preの解析

回路解析

ご覧いただいている皆さんどうもこんにちは、お久しぶりです。

久しぶり過ぎて、もう私が誰かすら覚えている人はいないでしょう。しかし、そんなことはどうでもいいのです。皆さんが気になっているのは40000preの中身だというのは分かっています。

最初に書いておきますが、40000preが大好き、酷評とか見てしまうと堪忍袋の緒が切れてしまう、という方はブラウザバック推奨です。一応事実に基づいた個人的見解を述べています。

早速本題ですが、今回はTwitterのフォロワー様から、依頼と合わせて40000preというエフェクターを回路解析しても良い、ということでお貸しいただきました。

正直40000preというエフェクターは初耳で、変わった名前だなという印象でしたが、調べてみるとどうやら抽選販売で、しかも販売台数も少ない、という相当な貴重品でした。

これはまたケンタウルス等の値段が限界突破したエフェクターと違って、入手性の観点からほぼ入手不可能に近いエフェクターではないでしょうか。貸してくださった方には改めてお礼申し上げます。

しかしmonicaに続いてまた貴重なエフェクターをお貸しいただきましたが、多分そろそろ事故とか遭うのではないでしょうか。あまり運がいい方ではないので、気を付けたいところです。

それはそれとして、界隈では名が知れているようですが、販売台数が少ないだけに知っている方も少ないと思います。なので軽く40000preの紹介をしておきましょう。

以下引用。

2018年に発売されたプリアンプ/ブースター Zahnrad 4000pre(ツァーンラート ヨンセンプリ)。

常にONにしたまま使用するベースサウンドの要として、Suspended4th Bassist 福田裕務氏のシステムで最適化するようブラッシュアップを繰り返すこと1年。福田氏とビルダー薫田が共に試行錯誤しサウンドを研ぎ澄ませ、シグネチャーモデル第1弾 nature sound 40000pre(ネイチャーサウンド ヨンマンプリ)が誕生しました。

プロミュージシャンの過酷な現場環境下での使用を前提としたプロ仕様のため、耐久性、信頼性の高いパーツ群で固められています。

どうやら4000preというエフェクターを、バージョンアップさせたエフェクターのようです。

一年間磨き上げたとのことで、その回路はいかほどか、確かに気になるところです。

実はお貸しいただいた方が、ブログのネタになれば、と仰っていましたが、他の記事を見て勉強になる、とも仰っていたのでとても勉強熱心な方なのだろうと思います。

特に自作をされているわけでもないようでしたし、電子回路とは程遠い楽器奏者が自らの使う機材と向き合うというのは素晴らしいことです。結果として高性能な機材が選択出来ることにもなりますし、やはり自分で判断出来るようになるのが最善だと思います。

私の本懐とも言えるので、ギターベース界隈がこのような傾向になれば良いですね。

さて、以降は現物の写真も入れつつ書いていこうと思います。

まず外箱なんですが、いつもなら気にせずシリアルとか載せていますが、伺った話によるとシリアルで購入者を把握しているとかなんとか。まぁよく分かりませんがシンプルに怖いですね。隠しておいて欲しいとの事だったので、モザイクをいれておきます。

箱自体は木箱風で、ブティックらしいのではないでしょうか。

そしてエフェクターです。コントロール一つにフットスイッチが一つ、なんとも大きな筐体には不釣り合いですが、それだけ中身が詰まっているであろう事を連想させます。

一応ですが蓋を開ける前にちゃんと弾いてみました。感想としては素直なブースターだなぁという印象です。ビンテージ感溢れる…とか音が太くなって…とかそんな抽象的な評価をするつもりは無いです。

気になったのは3時以降では歪んでしまうことでしょうか。ベース用ブースターで歪んでしまってもよいものなのか、味ってことなんですかね。ガサガサという歪みなので狙っているものではないと思いたいところです。

この時点では恐らく全帯域をブーストするMicro ampとかに近いのかな、という予想です。

さて皆さんが気になる中身です。こんな感じですがいかがでしょうか。

なるほど、ブティックらしい匂いがしてきます。

まず目に入るのは巨大なフィルムコンデンサですね。どうやらこの大きな筐体は回路を収めるためではなく、旧世代のアンプ用コンデンサを収めるためだったようです。

何度も言いますが、エフェクターで600Vを扱う事はありますか?ないですよね。50Vとか60V耐圧の小さいコンデンサで良いんですよ。むしろ新しい分高性能なまであります。

データシートまで探して見るつもりはないですが、昔のフィルムコンの中でも圧倒的高性能を誇っていたオレンジドロップでさえ現代の数十円で手に入るフィルムコンと較べると、性能は中の下ぐらいです。

つまりこのコンデンサ達は大目に見積もっても、それ以下の性能しかありません。果たして電子回路に性能以外の何を求めるのか、私の理解の及ばぬ所です。

しかしフィルムコンデンサに限って言えば、エフェクターレベルだと差が感じられにくいです。まぁどちらにせよ小さいフィルムコンで良いという事になります。

これ以外の、白くて小さいコンデンサは、恐らくタンタルコンデンサな気がしています。使いどころによっては私もよく使うんですが、これは回路の大半に使ってしまっています。特に意味も無いですし、極性を間違えると壊れて故障が波及するので自作する時は必要な部分に使いましょう。

しかし発振防止にタンタルコンデンサを使っているので、完全にパーツの特性とか無視していますね。

一応モザイクかけていますが左下には多分1W級のソリッド抵抗(カーボンコンポジット抵抗)が付いています。このブログをご覧いただいている方なら何が言いたいか分かると思いますが、性能が悪すぎて時代と共に淘汰された大昔の電子部品です。古き良き時代のパーツなどではなく、これ単体で雑音の元になるので炭素被膜抵抗かキンピを使いましょう。他の抵抗もDALEという高い抵抗を使っていますが、普通の抵抗と何も変わりません。精度の良さを求めるならキンピと同じです。ソリッド抵抗の詳細については確かパーツ関連の記事でまとめていたと思います。

次に目に入るのは二本のシールデッドケーブルでしょうか。大昔ですが、某有名ファズ等では見かけたような記憶があります。しかしこの場合は既に金属箱で覆ってあるので、さほど必要性は感じられません。逆にGNDパターンの引き回しなので無い方がいいでしょう。

最後に、よく見ると気になるのがこれですかね。

はんだ吸い取り線をGNDの配線として使っています。なんと斬新なんでしょうか。多分銅の単線だとはんだ付けしにくくて、それならはんだ吸い取り線を使おう、という感じでしょう。

これはずばり電子回路ギャグでしょうね。蓋を開けて基板を見ると笑いが取れる回路はそうそうありません。ぷらむさん面白すぎて笑いが止まりませんわっはっはー

冗談はさておき、どうせ使うなら銅の単線が良かったですよね。そちらの方が真空管アンプ世代には受けると思います。しかし真面目な話、ここまでの極太単線はエフェクターには必要ありません。アンプならあり得ますが、大体の基板で用いられる35μm厚でも相当な電流が流せたりします。

GNDの配線も数ミリの極太単線などではなく、0.65mm径程度の一般的な単線で問題ありません。

次に基板を取り出した写真です。

背面にも直接フィルムコンデンサが取り付けられていました。他のコンデンサが大き過ぎて入らなかったのか、基板を取り出さないと分からないようにするやんわりクローン対策なのか、まぁ自作する時はパターンが繋がってトラブルの元なので、ちゃんと表面に取り付ける事をお勧めします。

それで、この基板なんですが、写真の四隅に白くて四角い物が見えます。

これは基板固定用の足で、ネジ止めはたまに見かけますが、両面テープ固定は珍しいですね。最初は基板からピンを抜こうとしたんですが、こういうのはテープごと剥がした方が綺麗に取れます。

多用途の強力接着両面テープですかね。剥がすのはちょっと大変でした。ちゃんとAmazonで強力接着両面テープを買ったので、戻す時は貼り直します。

ところでこの方法、ネジ止めより信頼性は良いかもしれません。エフェクターは蹴飛ばすものなので、万が一にもネジが緩む可能性を考えると、固定用の足を接着してしまうのは良さそうです。

商品説明に、「プロミュージシャンの過酷な現場環境下での使用を前提としたプロ仕様のため、耐久性、信頼性の高いパーツ群で固められています。」とありましたが、パーツはともかくこの仕組みは耐久性高そうです。

そして何より面倒な穴あけとネジ止めをしなくていいです。場所は取りますが、大きめの筐体を使うなら自作派にもお勧め出来ます。

まだ基板があります。

先ほどの大きい基板を取り出してみると、足で浮いたスペースに小さな基板らしきものが両面テープで固定されていました。

市販品の回路画像を見る方なら分かってもらえそうですが、モールド樹脂にしか見えないんですよね。頑張って基板を外した後にこれを見ると戦慄しますよ。いや本当に。

某有名エフェクターですが、どうですかね。こういうのを見ているとモールド剤と錯覚します。

それで結論としてはモールド樹脂っぽいただの熱収縮チューブだったので、これ切っても大丈夫ですか、とお聞きして切りました。

こんな極太収縮チューブは持ってきていないので、お馴染みのAmazonでポチッです。

肝心の中身ですが、大体予想はついていましたが電圧生成回路ですね。昇圧回路とかの類です。収縮チューブはモールド目的というより、ケースに貼り付けるための絶縁目的でしょう。

一応ぼかし入れていますが、正電源と負電源を作っている回路です。ちなみに使われているICのデータシートでは電解コンデンサに10μFが使われていましたが、この回路では1μFと4.7μFが使われています。データシートではメーカーに苦情が来ないよう適切な値を記載しているんですが、なぜデータシート通りにしないのか謎です。

スイッチング周波数を上げる目的だとしても10μFでも十分ですし、そもそもこのICのスイッチング周波数は諸に可聴域なので意味がありません。そもそも可聴域内の時点で微妙なICです。

最後に、解析した結果どんな回路だったのか、についてです。

結論から言ってしまうと、ただのオペアンプブースターですね。特に何が良い悪いという事もなく、至って普通のMXR Micro ampみたいなものです。商品説明にブースター/プリアンプみたいな事も書いてありましたし、本当にMicro ampを参考にしていそうな雰囲気があるのもまた、って感じですよね。

一応小話的な事もありまして、例えばTwitterにもちょっと書いている、オペアンプの特定とかでしょうか。

綺麗に型番が削られています。これ削るの結構大変なんですけどね。削ってもうっすら残っていることすらありますが、全く残っていません。

ということでShigemori pretoneぶりのオペアンプ特定ですが、これがなかなか大変でした。

シングルオペアンプなので多分見つかるだろうと思いきや、手に入りやすい物はほぼ全滅です。

そこで真っ先にありそうだけど採算の都合で無いだろう、と判断していたオペアンプを見てみると、ぽいんですよね。

しかしそれと同じ種類のオペアンプも似た特性で、二種類までは絞れましたがちょっと判断しにくいな、というのが現状です。

でも後者はバラつきを含めて考えても、ちょっと逸れすぎな気がするので、どちらかと言うと前者な気がしています。後者は手に入るんですが、前者は手に入らないので残念です。

まぁオペアンプの特定は至難の業です。随分昔ですが、私が師事していたかの先生はオペアンプの特定など辞めて回路から最適なオペアンプを判断せよと仰っていました。

正直その通りなんですが、今回はメーカーの設計レベルも指し量りたいところなので仕方なしですね。

そして絞り込んだ2択はどちらも微妙な性能です。これについては完全な憶測なので特に物申すつもりはありませんが、性能を求めるならわざわざ同じオペアンプを使う必要はありませんね。

役に立つか分からないオペアンプ特定豆知識ですが、オペアンプの外観は結構重要で、このオペアンプだと凹みが無いのでそこから絞り込めたりします。

こういうことですね。

さて、小話その2ですが、驚いたのがたくさん乗っていた巨大コンデンサ。なんと全部並列だったんですよね。

左右の両脇に位置していますが、これが全部ではなく、左右で2グループ並列の塊になっています。

裏面のコンデンサも並列とか普通思いませんよね。

特に並列にするほどの容量でもないですし、大きい容量が欲しいならそれだけ分の容量を持つコンデンサを付ければいいようなものですが。

全部乗せみたいな感じでしょうか。多分これも電子回路ギャグの一種でしょう。

ちなみに最初に貼った基板の画像の、右側のフィルムコンデンサ群はなんと電源部のコンデンサでした。その容量なんと50μF越え。電解コンデンサを使えばいいと思うんですけどね。

逆にオペアンプの電源は電解コンデンサを使っているので一貫性はありません。

次はちょっと回路の分かる方向けの話になりますが、戦慄の電源生成回路について。

オペアンプは当然両電源動作なんですが、電圧生成回路に給電する9Vを分圧して信号ラインにバイアスをかけるという、なぜそんな事をするのかよく分からない事をやっています。

両電源なのに電源を分圧してバイアスをかける。ある種の矛盾ですが、正電源だけ更に昇圧して負電源はそのままなので、バイアスをかけて多少不安定にしてでも振幅の幅を取りたかったんでしょうか。(それでも3時以降は歪んでいましたが)

そんな信号レベルを確保するより、接地してしまって安定性を確保した方が良いと言いますか、両電源はそれが魅力だと思うんですけどね。

あと気になったのは無意味な電圧保護回路でしょうか。なぜかオペアンプの入力側ではなく出力側についていますが、何がしたいのかこれに関しては意味不明です。後から改造したいだとかの自作でなら分かりますが、製品を回収して改造なんて出来ないので本当に無意味な回路が付いています。

これ付ける前に逆電圧保護回路付けるのが先だと思うんですけどね。このエフェクターには付いていないので、ファズとか使っていて間違えてセンタープラスを繋ぐとぶっ壊れます。

最後に締めというか落ちというか、本当に回路の勉強してるのか疑問が湧いてしまうんですが、

40000pre | nature sound Official Website
商品が見つかりませんでした

一応二つ貼っておきます。

間違い探しの時間です。リンク先のホームページを見て間違いが分かった方はコメント欄へ!まぁ書く人がいるかは怪しいですが。答えは下の方に書いておきます。

分かったでしょうか。

そうですね。消費電力の単位はAではなくWです。あまり馴染が無いので間違えることもある、と思うかもしれませんが、普通回路勉強してる人がこんなの間違えるわけがないですからね。円とドルを間違えますか?間違えないですよね。こういう所でボロが出るので本当にメーカーの人は気を付けた方がいいと思います。

まぁ重箱の隅をつつくような事をやっているなとは思いますが、こういう所で真っ当なメーカーは見極められたりするものです。

しかしアンプならまだしも、エフェクターで消費電力を表記しているのは見たことがないので気付きそうなものですけどね。消費電力〜Aとか、書いている最中に違和感を感じます。

さて、いかがでしたでしょうか。

色々書きましたが、回路の構成自体は普通のブースターなので、ちゃんと作ればしっかりしたものが出来上がるだろうと思います。

電圧生成回路は均等な電圧配分にして、バイアスもかけない方向にする。謎の保護回路は無くすなど、手を加えたいところもありますが、逆接続だけ気を付ければ実用ではさして問題はないでしょう。

同じものが欲しい方はMXR Micro ampを電圧上げ目にしてベース用に調整すれば似たようなものが作れると思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。

コメント

  1. 匿名 より:

    いまさら申し訳ありませんがベース用に調整とは具体的に何をしたら良いのでしょか?

    • ぷらむ* ぷらむ* より:

      各々求める機能は違うため、それに合わせた設計をすることが必要です。
      ベース用ブースターでは増幅率が高くなっても歪まないようにしたい、上も下もギターより扱う帯域が広いため、クリーンブースターならなるべくカットしないようにしたい(逆にカットしたい)といった需要は多くあります。

  2. 匿名 より:

    いつも楽しく拝見させて頂いております。
    オペアンプの窪み方や、オーディオのプリアンプを模索している面から、ICはMUSES03Dではないかと思ったのですが、私の予想はいかがでしょうか…!

    • ぷらむ* ぷらむ* より:

      ご覧いただきありがとうございます。
      仰る通り、私もMUSES03Dだと予想しています。
      このエフェクターが少数限定なのも、オペアンプが手に入らない事が関係しているのだろうと思っています。

  3. 匿名 より:

    初心者質問すみません。本題に全く関係ないのですが、
    https://youtu.be/40pjplFWMnM
    こちらの動画の5:05辺りに紹介されているさしたら有効、抜いたらワイヤレス優先…のようなジャンクションボックスはどのように配線すればよいのかご教授頂けないでしょうか。スイッチ付きのコネクターを駆使するのかなぁといった予想はあります。

    • ぷらむ* ぷらむ* より:

      ギャレットオーディオに売っている、SwitchCraft #A12のようなスイッチ付きジャックを使って、SPDTスイッチのように切り替えれば可能です。

      ワイヤレスのジャックは通常のものを使用し、ギターインプット側のジャックをスイッチ付きにします。
      スイッチにワイヤレスのホットを繋げば、ギターインプットを抜いた時スイッチがON、挿した時にOFFとなります。

  4. 匿名 より:

    いつも楽しく拝見させて頂いております。
    写真を見る限りシルバーマイカも使われているのですね!Microampに近いのであれば定数は50,51pF辺りですかね…?
    あと、無知な質問でしたらすみません。コネクタを結ぶアースの部分の導線ですが、半田吸い取り線ではなく平編銅線ではないでしょうか。私自身違いがよく分かってないため単純に気になります。

  5. Giabbit より:

    4000Pre、名前からしてSSL4000Eのラインドライバを模したものでしょうし、オペアンプはNE5534では?と思っていたのですが、どうでしょう。
    ただSSL4000Eのサウンドは経験的にオペアンプよりJensenトランスの方が支配的なのでどうなんだろう・・・とも思います。
    前に中古品を試奏した時は「音は悪くないけどどう贔屓目に見積もってもSSLの音ではない」という印象でした。

    • ぷらむ* ぷらむ* より:

      ご覧いただきありがとうございます。
      私の方でも調べてみたところ、そのような記述を見かけました。
      結論から申し上げると、NE5534ではないと思われます。測定した結果、内部回路から違う上、恐らくオペアンプの種類も別物だと推測しています。
      SSL4000の回路も見ましたが、40000preとは全く異なった回路でした。似ていなくとも当然と言えます。

      • Giabbit より:

        返信ありがとうございます。
        回路もオペアンプも違うんじゃそりゃSSLの音がするわけありませんね笑

  6. より:

    いつも楽しく拝見しています。
    今回もバッサリ斬っていて楽しかったです。
    持っていないのですがNord landのODR-Cはトーン回路等が面白くて感想が聞きたいです。
    https://aionfx.com/app/files/schematics/nordland-odrc-trace-schematic.png

    • ぷらむ* ぷらむ* より:

      ご覧いただきありがとうございます。

      お示しになった回路図の方拝見しました。
      確かにトーン回路は凝っていて面白い回路ですね。とても楽しめるエフェクターだと思います。

      一方で小言を申して良いなら、幾つか設計に疑問点があります。
      設計ミスと言ってしまえばそうですが、設計している内に、最初にあった設計思想から乖離してしまったのでしょう。
      例えば採用している4558pというオペアンプは電源電圧が最低10Vの幅をとらなくてはなりません。
      9Vでは満足な振幅は得られず、加えてクリッピングLEDには緑色LEDを採用しており、一際大きな振幅が必要となります。
      オペアンプと電源は要検討が必要でしょう。倍程度の電圧を供給するような設計だったと思われますが、本当にこの回路に落ち着いたのだとすると、技術水準が高いのか低いのかよく分かりませんね。

      そして電源回路のFETについて、この使い方では寄生ダイオードを利用した単なるダイオードと同じです。
      本当にこの回路だったのかと疑いたくなってしまいます。ここは逆接続防止用のダイオードで構いません。
      Q5も電源スイッチとして利用しようとした痕跡が見られますが、極性を間違えています。特に電源スイッチとして使うつもりが無いなら省いてしまって結構です。
      総じてやや杜撰な回路設計だという印象ですが、上記に挙げた点に気をつければ、トーン回路も凝っており楽しめるエフェクターだと思います。

      • より:

        電源回路のFETはどんな効果があるのか不思議でしたがただのダイオードなんですね。
        やや杜撰な回路設計という言葉に思わず笑ってしまいました。
        ぷらむさんの切れ味のいい言葉が大好きです。
        見ていただいてありがとうございました。

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