【回路解析】VIRTUES monicaの解析

回路解析

最近解析ネタが続いておりますが、今回も解析ネタです。

今回はVIRTUES monicaというエフェクターです。

monicaについては最近myriadが話題沸騰中ですが、その発端となったAssh氏が使っている事でも知られています

Virtuesというメーカーは2019年発足の最近出来たメーカーだそうで、半年ぐらい前に何度かmonicaは作れないのかという問い合わせがあった時、monicaというエフェクターがあるんだな、程度の認識でした。

そんな事もあってTwitterでmonicaという文字を見た時思い出し、今回解析するに至ったのですが、なんと今回は解析用のエフェクターをお貸しいただきました。

某Twitterで、monica解析するかなぁと呟いていると、まさかのフォロワーの方から貸し出しのご提案が。なんとラッキーなんでしょう。物は言ってみるものです。

myriadのご依頼も頂いたりと、何かとお世話になっているのでこれは何か返礼品を考えなければなりませんね。ふるさと納税でしょうか。

解析するエフェクター

そんなわけでお借りさせていただいたエフェクターがこちら。

塗装が白いAssh氏モデルと、黒い通常版がありますが、写真の通り通常版です。元々Assh氏モデルを解析してみようかと思っていましたが、通常版と比較してみるのも良いでしょう。というよりぜひとも比較したいところです。

ケースの作りについては金属板を曲げ加工したもので、ケース側面でネジ止めしています。Hammondではなくオリジナルのケースですが、Vemuramに近い作りです。

重さはそこそこ。同サイズのHammondよりは若干重い気がしますが、多分アルミかアルミ合金でしょう。

早速試奏してみましたが、かなり増幅率の高いエフェクターだと感じました。クリーンで鳴らした時バイパスではほぼ聴こえないレベルまでアンプの音量を落としても、monicaのゲインとボリュームを最大付近にするとかなり大きくなるんですよね。

これは500kの可変抵抗の可変範囲ではないです。

そして歪みの質感はゲイン後半では割と荒っぽい歪みです。多分シリコンかなと思いましたが、Twitterでも回路予想していた通りネットで画像検索した時に出てくる基板に、ダイオードが乗っていないんですよね。なのでZendriveやOCDのようにFETのボディダイオードを利用したものか、それに準ずるもので、ツマミ数的にもおおかたTS系だろうと予想していました。

一応私が撮影した基板です。

まぁ結果はというと、当たっていたと言えば当たっていました。ただやはり捻りは加えられていました。

最近解析した中では一番まとも、と言っては失礼ですね。ちゃんと考えられた回路だと思いました。特に歪み回路は私が設計して使っているオーバードライブにぱっと見近い回路で面白かったです。まぁ考え方が異なる回路なので似て非なるものではありますが。

しかし某オーバードライブに非常に近い回路なので、変に弄っていない分回路がちゃんとしている部分はあります。

個人的には結構好きな音でした。特にトーン回路は某オーバードライブっぽさを感じさせつつも、やや複雑な回路だったので後々解析してみたいと思います。

それから個人的にポイントが高かったのが、こちら。

画質が悪いのは置いておいて、monicaのパイロットランプは青色です。いや赤色やんけ、と言われそうですが、電源アダプタが挿さっていないですよね。この画像は電源アダプタを抜いた瞬間を撮影したものでして、平滑コンデンサから放電される9Vをかなり下回る電圧がかかった瞬間です。

つまり電池駆動の時、電池が消耗して正常動作が出来ないほど電圧が下がったら、パイロットランプが青から赤に切り替わって教えてくれるという事です。私も電池駆動で製作を依頼されると良く使う手段です。

これはBOSSでも取り入れられている仕組み(BOSSの場合極端に暗くなる)で、

個人的には一番、(^ω^)おっ、となった部分です。電子回路の心得が無ければこんな単純そうな回路でも組めないですからね。

こういったプレイヤーを気遣う仕組みは非常に高ポイントです。

ここからは細々した気になる点を挙げていきます。monicaファンの方はブラウザバック推奨です。

基板をご覧の通りTO-92パッケージがちらほら見えます。ブティックにしては珍しくバッファでも搭載しているのかな?と思ったら、やはりバッファ搭載でした。しかし残念な事にトゥルーバイパス。フットスイッチが金メッキではないだけに、出来ればバッファードバイパスにして欲しいところでした。まぁこの辺りは今更ぐちぐち言っても仕方がありませんかね。

二つ目電源部の弱さ。CRフィルタではなく平滑コンデンサのみだったので電源ノイズにはかなり弱いです。下手なパワーサプライ、電源アダプタは使えません。コンデンサの容量も決して多くはないので、改良が必要です。

しかし回路設計を見るに、重要な部分は抑えているメーカーです。

それで、疑問なのが三つある可変抵抗の内一つだけポットカバーが取り付けられていなかったんですよね。絶縁が目的にしてもポットへゴミが入る事を防止する目的にしても、なぜこの可変抵抗だけ取り付けられていないのか謎です。ハンドメイドらしいので付け忘れたとかですかね。他に持っている方がいればコメントなりで教えて欲しいと思います。

次にシャーシのアースについて。大抵インプット側はシャーシの内側を削るなりしてシャーシアースを取っているものですが、このエフェクターでは削られていません。

アースの接触不良が問題となる場合もあるでしょう。

GNDの配線をもう少し見やすく撮るべきでしたかね。インアウトのジャックのGNDが結線されていますが、これは一点アースをする場合以外必要ありません。

アウト側も直接シャーシアースされているのであんまり意味は無さそうですね。

そして最後はオペアンプ。

電流性雑音にはやや強いオペアンプですが、電圧性雑音は悪いオペアンプが採用されていました。バッファが搭載されているので電流性雑音に強くする理由もありませんし、そう考えると極力電圧性雑音を小さくしたいと考えるのが妥当です。

ところが電圧性雑音が大きいと来たものですから、オペアンプの選択はちょっと微妙です。その値なんと4558DDの二倍弱。比較対象が汎用オペアンプでこれなので、オーディオ用の4580なら更に差が開きます。

あとは歪みエフェクターなので歪み率はあまり気にしなくて良い説はありますが、低倍率ブースターやバッファのように使うならオペアンプによる歪み率が高めなので、耳の良い方なら違和感を感じるかもしれませんね。

気になった点はこんなところです。

回路設計は悪くないだけに、オペアンプについては非常に惜しいですね。

作ろうと思えば上位互換的なエフェクターは作れますが、珍しく信号経路の回路はさほど弄らなくても良さそうです。

総評としては、解析して自作でもしない限り「買い」なエフェクターです。ここ最近見たエフェクターでは一番の回路でした。最近解析したエフェクターが連続してアレだったので、国内小規模メーカーはダメかもしれないと思っていた中、良い意味で期待を裏切られました。お勧めです。ただハンドメイドらしいので値段が高いですね。それを差し引いても新しい音色を、という事なら機材厨にはプライスレスでしょう。少なくともブティックのよくやる既存の回路を繋ぎ合わせた継ぎ接ぎの回路ではない事だけは確かです。

それはそうと、貸してくださった方には乱雑に蹴飛ばせる練習用として、上位互換的に設計したmonicaをお渡ししたいですね。

実のところ良い意味で若干ショックを受けているのが、特に対価を要求されなかったことです。普通は貸すので上位互換に設計したやつくださいとでも言うべきところでしょうに、顔も見知らぬ相手に無償の善意とはなかなか出来る事ではありません。

勿論上位互換的なエフェクターが欲しいと言われれば当然お渡ししましたが、まぁ言われないルートを選択されたとしても結局渡すので確定イベントですかね。そんなわけで、今日はこんなところで終わりたいと思います。

次回はAssh氏モデルを解析したいですね。

最後まで読んでくださってありがとうございました。( ^ω^)

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コメント

  1. アバター フジイ より:

    同メーカーのファズフェイス系エフェクターLanderを持っていましたが、ハムバッカーでもシングルコイルを通した音に調節できて良かったです
    あまり使わなくなったので高く売れるうちに売ってしまいましたが。。。

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