【回路解説】FULLTONE OCDの自作

FULLTONE OCD

前回のOCDのパーツやレイアウトをまとめた記事に続いて今回は回路について解説していきます。

OCDはオーバードライブとして扱われていますが、一般的なオーバードライブとは少し違った回路なので作る前に見て頂ければより理解が深まると思います。

回路図

これがOCDの回路図です。

オーバードライブなのにTS系じゃない…!と思った方なら多分おおよその回路は把握出来ていると思います。

一応掴み的に簡単に言うと、オペアンプの負帰還で増幅率を調節した後ダイオードとFETでクリッピングして、片側のオペアンプユニットで少しブースト後簡単なフィルター回路を通って出力、という感じです。

クリッピング回路はオーバードライブというよりディストーション的で、オーバードライブだとケンタウルスが同じクリッピング回路を持っています。

ちょっと回路が見にくいですが、詳しく解説していきます(;^ω^)

入力部

R1はスイッチ切り替え時のバチンという音を消してくれる抵抗です。トゥルーバイパスのエフェクターには全て付いているのでご存じの方も多いでしょう。

C1はカップリングコンデンサで、ギターの帯域をどこまで通すかを決めています。0.02μだと結構小さい部類に入ります。大抵は0.047μですが、ここまで大きいと低域が歪んでしまって音が汚くなるからやめたのかもしれません。

増幅部

だいぶ増幅率が高いですね。

C3は発振防止用のコンデンサですが、増幅率が高い分やや大きめの値です。

18kが最低ゲインを決めています。1Mの可変抵抗を増やすと増幅率も増えます。

R2は増幅率を決めたりフィルター回路を作ったりと、マルチな役割をしています。

式は

18k+1M/2.2k=462.7272…≒463倍

です。

最低ゲインは8倍ぐらいですかね。

クリッピング回路

ここがOCDの肝ですね。

2N7000と1N34で非対称クリッピングしています。スイッチでもう一本1N34を増やせば対象クリップも可能に、なんてことも出来ます。

ただOCDの仕様変更を見るに増幅部のゲインポットが500kから1Mになってますが、これがもっと歪ませたいという事でやっているならちょっとイマイチですね。

歪みを増やすなら負帰還の抵抗を増やすのではなくクリッピングダイオードの種類を変えて歪みを変化させます。

ゲルマニウムダイオードはかなり弱い素子なので電圧をかけすぎると壊れるというのもありますが、増幅率が高いとその分ノイズが増えますし、オペアンプが破綻してクリッピングしてしまうと想定していない歪みになるのであまり好ましくありません。

増幅率が高いと発振もしやすくなるので発振防止用のコンデンサも大きくしなければならず、可聴域に影響が出るほどのフィルター回路が形成されてしまうデメリットもあります。

モディファイメーカーが負帰還の抵抗値を増やして~という方法をよくやっていますが、これをやるのは二流三流です。

要するに適正なダイオードを選択すればいいだけですが、ダイオードのデータシートからクリッピング特性を読み取る能力が無い、もしくはその方法すら知らないという事です。

私なら増幅部の可変抵抗を500kに戻して発振防止用コンデンサもなるべく小さくして、特性の急勾配なダイオードを使います。

ゲルマニウムダイオードか低電圧用のショットキーバリアなんかもいいかもしれません。

トーン回路、出力部

クリッピングされた信号はオペアンプの残りのユニットに入ってブーストされます。

ここは増幅部と同じと解釈して大丈夫です。

R10ですがかなり大きいのでハイ落ちする、ブーミーすぎる、というのはこの辺が原因でしょう。改造するならオペアンプ周辺のフィルター回路の定数を変えてみると良いです。

オペアンプ通過後は簡単なフィルター回路を通って出力となります。

トグルスイッチは抵抗値を変えているだけですね。この辺もお好みで弄れそうです。

電源部

ここが電源部です。

個人的に見にくいです(;^ω^)

9VはDCジャックから+9Vが給電される場所です。

D1はいつもの逆接続防止用ダイオードです。OCDは直列ではなくGNDに入っているようですね。こうすると直列に比べて電圧降下が軽減されます。

C7は電源のインピーダンスを下げるコンデンサです。セラミックがいいですね。

C5は極性付きなので電解コンデンサで多分100μとかだと思いますが、なんで書いてないんですかね?これは電源ノイズをとるやつです。

R7,R5は中間電圧を生成しています。これもオペアンプを使う時によくある回路ですね。ちなみにクリッピングダイオードはGNDではなく中間電圧に繋がっているので注意です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

個人的には色々調節したいエフェクターでした。

実はOCDって私の好みじゃないんですが結構そういう方もいるみたいで、歪むのが嫌いなのではなく音色だったりトーンの効きが好みでない時は定数変更すると良い感じに仕上がると思います。

定数変更したり書き足したりするときはPCソフトだと結構大変なので手書きが良いです。私も使っている方眼紙ノートですが、これぐらいのサイズがちょうどいいですね。

最後まで読んでくださってありがとうございました(^▽^)/

コメント

  1. newchappie より:

    OCDの自作をするにあたり、クリッピング部分で質問があります。
    別の海外フォーラムではソース+ゲート→ドレイン→ダイオードのアノードという繋ぎ方を見かけました。以下のページになります。
    https://www.freestompboxes.org/viewtopic.php?t=25443
    これはOCDクローンのJOYOに関して設計ミスを指摘していますが、2N7000の繋ぎ方も一般的に出回っている回路図と異なっており、この場合の動作はどのような挙動になりますでしょうか。

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