今まではあまり触れてこなかった分野ではあるのですが、なぜ今回取り上げたかというと、やはりPCは回路基板設計で使うほか、測定、シミュレーション、プログラミングなど、少し手の込んだ自作をするなら必須になるからです。
そして、私が買い替えたからです。
入院生活が長かったので、PC関連が型落ち気味になっています(Intel core i7 10世代なので使えなくはないんですが)。
以前は大学病院のある地方都市に住んでいましたが、療養に伴いそこそこ田舎に引っ越してしまったので、機材全般の入れ替えを検討しています。機材系の記事が多くなるかもしれません。
今回は実際に私が購入したPCも紹介しているので、使用感などと共に書いていこうと思います。
ノートPCに必要な機能
まず、PCにはノートPCとデスクトップPCがあります。
使い分ける基準としては、単純に持ち運べるか否か。つまり選ぶ基準はそこなのです。
処理性能だとか、グラフィックボードが付いているとかではなく、その前にその機材はどういう役割であるかが重要なのです。
具体的に、ノートPCは持ち運ぶものなので、鞄にはいる程度の小さめのサイズであること、軽いこと、バッテリーが長持ちすること。この3つがポイントになります。
性能が高ければ高くなるほど、重く、大きくなっていきます。なので、性能が必要な処理はそもそもノートPCには不向きで、デスクトップで処理すべきということです。
とは言え、回路設計やパターン設計ソフトにはそこまで処理性能は必要なく、Spice系のシミュレーションソフトも最近の世代ならミドルスペックで十分動かせます。
※あとから読み返して思ったのですが、ニッチな内容なのでPCだけ知りたい方は読み飛ばしてください。
少し話は逸れますが、私がちょうど入院していた間にIntelがやらかしてしまったようです。
プロセスルールの開発失敗も続いていましたし、実際のところではベンチマークスコアで勝っていてもRyzenに世代遅れをとっているような状況かと思います。
原因はCPUのマイクロコードであるとしていますが、対策BIOSのアップデートを行ったあとも不具合があるという報告は多いようです。全てではありませんが、軍事用CPUでは安定性を重視し、プロセスルールが数十ナノオーダーのレガシーチップというものを採用するぐらいで、最近のCPUは微細化に伴う不具合が多いなと感じます。
不具合が起きないよう安定性重視であるサーバーでも、サーバー用CPUを採用しているにも関わらず、最近は外れのサーバーに当たると重い処理をさせたら謎のエラーを吐くという話もよく耳にします。
大規模な演算を行う際にはそれだけ計算量も多くなるんですが、その際にほんの僅かな間違いが起こってしまうことは昔から知られており、それが最近になってまた取り沙汰されているのも見かけました。規模が大きいだけに、人が1つ1つ確認するわけにもいかず、間違いに気づけないわけです。それをどう検出するか、という議論は絶えません。
※ここまで
と、話が大脱線したので戻すと、Intelはやめておけというのもあるんですが、こういった情報は自分の使う道具に関わることなので、工学に興味があるなら情報は追っておくことをおすすめします。
ちなみにIntelの不具合問題はデスクトップ用CPUのみと発表されていますが、個人の方が集計した結果によると、ノートPCでも13、14世代は不具合が多いという話もあるようです。
しかし、焼けが原因ですから、性能重視の末尾HがつくようなCPUでなければ、個人的には「そこまで気にする必要もないという見解です。現実的な問題として、大手PCメーカーは未だにIntelを採用しがちですから、良い候補にはIntelが入ってきてしまいます。
さて、何を言っているのか分からないというような内容になってきたかもしれませんが、ひとまず、性能重視なCPUを採用している、最近ではゲーミングノートPCと呼ばれている類の13、14世代はやめておくのが無難です。
そもそもゲーミングノートPCというのも、最初に述べた通り、ノートPCは持ち運ぶのが役目であるにも関わらず、重い、大きい、バッテリー持ちしない、と全てが真逆です。
要するに器用貧乏なわけで、ゲームのような重いグラフィック処理をするならデスクトップでしましょうというわけです。
また、ゲーミングノートは同じ型番のCPUでも、ノート用とデスクトップ用でCPU、GPUは分かれていて、ノートの上位CPUはデスクトップの下位モデルに及びません。
何事も棲み分けが重要です。
おすすめのノートPC
購入する際は、価格.comというサイトからの購入がおすすめです。
このサイトは、PC通販店のほぼ全てを網羅しているので、最安の店から購入ができます。
また、スペックの絞り込み機能も優れているため非常に便利です。
絞り込む条件はずばり、13.3インチ~14インチ、1.5kg未満、バッテリー持ち15~20時間以上、です。メーカーなどは気にする必要はなく、スペックで絞り込むのがおすすめです。
個人的には持ち運ぶなら13.3インチ、重さは1kgを切っているもの、バッテリー持ち20時間以上です。
その条件で絞り込んだのが、下記リンクです。この中から選べば間違いはありません。
私はDynaBook GZ/HW Core i7 1360p 16GBモデルを購入しました。
理由はコスパですね。この中だとほぼ最安かと思います。
しれっと16GB~32GBで絞り込んでいるんですが、最近はOSの肥大化に伴って、16GBないと快適に使えないなという感覚です。
一昔前は事務作業なら4GBでいいなんてことも言われていましたが、現在は4GBはおろか、8GBでも厳しいという意見も多いです。
それに、回路設計ではデータシートを見るためにブラウザを開きながら、回路設計ソフト、基板設計ソフトを立ち上げて、と複数ソフトを立ち上げるので、デスクトップが無いなら32GBほしいぐらいです。
ちなみに、このモデルに限らず最近の世代はメモリがオンボード、つまりマザーボードに直接はんだ付けしてあるので交換不可能である場合が多いです。
Windowsは拡張性が取り柄なのに、由々しき現実ですが、省電力化のためには避けて通れなかったのだと思います。AppleのMシリーズ搭載PCに倣ったのかもしれませんが、拡張性が失われたWindowsに何が残るというのでしょうか、残念です。
SSDは交換可能ですが、もし載せ替えたいという場合はご注意ください。
インチが大きくても構わないというなら、IBMのThinkPadはおすすめです。こちらはカスタマイズ性が非常に高いため、公式サイトから一つ一つスペックを選択することになるかと思います。社用PCでThinkPadは非常に人気が高い機種の一つです。
予算が許すなら、富士通のLIFEBOOKシリーズはバッテリー持ちが異常なほど長く、DynaBookのほぼ上位互換です。
こちらはCore Ultraの1世代のものです。2世代(現在の最新世代)も出たんですが、出たばかりであまり採用されていないのが現状です。また、Core Ultraの世代からJEITA3.0表記が多いので、そちらも含めると悪くない機種は多そうです。JEITA2.0と3.0で絞り込めるといいんですが、出来ないのでCPU世代で絞り込むしかありません。
他にもグラフィック性能重視なら、Lg Gramという機種は悪くないと思います。といっても内蔵GPUですから、誤差みたいなものではあります。
※念のため、デスクトップを買うほどではないけれど、ほぼ据え置きで使うということで、大型のノートPCも選択に入る人がいるかもしれませんので、参考までに紹介しておきます。
15.6~16インチの機種で絞り込んだものです。
Intel CPUを選ぶならCore Ultra5,7あたりを選べばいいんですが、Ryzenの型番は少々ややこしいです。
AMD公式サイトより引用します。
↓画像のように、左の番号から発売年、Intelのcore i5やi7相当のRyzen5,7、そしてアーキテクチャ(これが非常に厄介)、マイナーチェンジ用の番号、消費電力を見分けるアルファベットとなっています。
4桁目は案外7からでもよく、3桁目もRyzen5,7から選ぶのでほぼ気にする必要はありません。
2桁目はアーキテクチャと言って、微細化技術のグレードを示しています。
要は、新しめの世代のRyzen7を選んだとしてもアーキテクチャの世代が低いと、思ったより性能が低いという事態になってしまいます。
現在の最新世代はZen5なため、2桁目は4か5の付くCPUがよいかなと思います。
据え置きなら省電力である必要はないので、アルファベットは何でもよいです。
GPUは絞りこんでいませんので、3DCADやblenderのようなグラフィック性能が欲しいソフトをしっかり使いたいということなら、
Geforce RTX4000番台から選びましょう。
4050,4060がローエンド、4070がミドル、4080がミドルハイ、4090がハイエンドといった具合で、人気なモデルは4060と4070です。4070が性能と価格のバランスが取れています。
選ぶポイント
- 軽い 1kg未満~1.5kg おすすめは1kg未満 力持ちな方は1.3kg前後
- 小さい 13.3~14インチ
- バッテリー持ちがよい JEITA2.0で15~20時間以上 おすすめは20時間以上
- メモリ 16GB~32GB以上
- CPU Intel core i5 corei7(13~15世代)もしくはRyzen5 Ryzen7
- GPU いらない(内臓で十分であることと、重い処理はデスクトップの分野)
- USB PDから給電できること 専用アダプタからの給電のみだと使い勝手が悪いため
- OS Windows11 HOMEもしくはPro
- ストレージ SSD512GB以上
- Office エクセルがあると良い
ノートPCの落とし穴
さて、皆さんの疑問解決のコーナーに入ろうと思います。
質問が来ていなくても分かるので、まずはバッテリー駆動時間20時間以上は大げさではないか?についてです。
これについては、JEITA Ver2.0という表記が諸悪の根源です。
バッテリー駆動時間公称値の基準となる一つの指標で、一般社団法人電子情報技術産業協会が定めた規格です。
JEITA規格については、下記サイトが分かりやすいかと思います。
最近ではJEITA3.0で記載してあることも多いんですが、DynaBookは13世代のやや前の機種なので、スペックの項目で「JEITA Ver2.0:24時間」とあります。
これは実際に24時間使えるわけではありません。なぜなら、JEITA2.0はアイドル時間を含んでおり、そんなものは何のあてにもならないからです。
JEITA2.0の実際の駆動時間は、公称値の4~6割程度です。バッテリーがへたることを考慮すると、なるべく駆動時間の多い機種を選ぶに越したことはありません。
ゲーミングノートPCでは、駆動時間8時間などという表記に騙されて買ってしまうと、普通の使用で2時間、ゲームをすると1時間持たないなんてことはざらです。
ああいった機種は持ち運ぶのではなく、常にアダプタに繋いで使うことを想定しているもので、本当に使う場面は限られてきます。(強いて言えば、学校の教員や大学教授などのような、自分のワークスペースがほぼ固定でありながらたまに移動する、というような人向けかなと思います)
JEITA3.0については、実際の駆動時間に近くはなったのですが、動画を再生するだけという使い方はしませんので、実際の駆動時間は6~7割であると見積もった方がよいです。
そもそも、JEITA規格のような測定方法でずっと使うわけもなく、重い処理をさせるとその分電力を消費します。
なるべく余裕は持たせておくと安心です。
ちなみに私が購入したDynaBookは体感、5~6時間が連続使用可能時間でした。
ところで、単純にスペックで絞り込んで購入したんですが、どうやらDynaBook GZ/HWシリーズは東京大学を始め、他大学でも推奨されている機種のようです。有名大学のお墨付きですから、良い機種であることは間違いないでしょう。
あと、Apple社のMacintosh(Macの方が伝わるでしょうか)はどうなのかという質問は昔からよく受けるんですが、エンジニアであるなら必ずWindowsを購入してください。
世の中の物はほとんどWindowsで作られています。つまりWindowsが業界基準であり、Macはクリエイティブな動画編集であったり、音楽系の編集、あとはiOS環境の開発などが強みです。
トラブルシューティングや拡張性、ソフトの充実性は未だWindowsが強いので、MacがどうしてもほしいというならサブPCとして購入しましょう。
しかし、AppleのMシリーズ搭載ノートPCのバッテリー持ちは異常です。Windowsもあれぐらい持ちがよければいいんですが、X86という後方互換性を維持したまま進化させてきたCPUの代償です。
一方MシリーズチップはARMベースだからなせるバッテリー持ちで、ARMでは動かないソフトもあるため、一概に良いとも言えません。
X86までに積み上げてきた資産は今までのPCの歴史の積み重ねであり、そうそう変わることもありません。当面の間はX86の時代でしょう。AMDのチップレット技術を筆頭とする新技術には期待感が高いです。
それから、最近Chromebookなるものも出てきているそうですが、あれはMacでもなければWindowsでもなく、LinuxカーネルベースのChromeOSという全くの別物です。絶対に買ってはいけない機種です。
Qualcomm製CPUのSnapdragonというCPUを搭載した機種もARMベースであるため、X86をエミュレートしています。動作しないソフトも多く、やめておくのが無難です。
あとがき(重要)
一つ書き忘れていたんですが、DynaBookは無駄な専用ソフトがたくさん入っていて煩わしいです。
個人的にWindowsはなるべくクリーンな状態で使いたいので、セットアップと同時に全てアンインストールしました。また、社用PCでもなければウイルス対策ソフトは不要です。Windows備え付けの対策ソフトで十分だと思っているので、McAfeeなどが入っていたら速攻削除をおすすめします。(自己責任ではあるのですが)
というより、定期的にライセンス購入を作業中でも強制的に迫ってくるため、ウイルス対策ソフトの方がウイルスのようなものです。速攻削除をおすすめします
また、ウイルス対策ソフトに並んで、否、それ以上に凶悪なOneDriveも削除をおすすめします。あれはセットアップと同時に強制同期してくるので、セットアップ終了直後から前のPCと紐づけているデータを一斉ダウンロードしてファンが鳴りっぱなしになります。
そしてダウンロードが終わると、せっかくクリーンなWindowsが、デスクトップ上に無数のアイコンが表示され、エクスプローラーもぐちゃぐちゃになります。
ですから、フリーソフトをいくつもいれるような使い方と絶望的に相性が悪く、しかも最悪なのが、クラウド容量がいっぱいになると課金を迫ってきます。
こちらもウイルスソフトと変わらないので削除をおすすめします。おすすめします。
こちらの動画がわかりやすいです。
クラウドシステムは家庭用だったり、自動バックアップ機能は自動で新しいPCに引き継いでくれて、確かに便利な面もあるのですが、エンジニアには向かないと思っています。
また、クラウドもネット上の保存領域であるため、第三者のもとにあるわけです。セキュリティ的にはローカルであることが安全という古い考えも、私がクラウドを積極的に利用しない理由の一つです。
データは定期的にUSBメモリ、HDDなどでバックアップを取る、それだけでも十分です。
NASという手段もあるので、構築し直したらまた記事にしようかと思います。
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