皆さんシールドは何メートルぐらいの長さを使っていますかね。
家でしか弾かない方なら1~2m、よくライブをする方なら3~6m、激しく動くタイプの方なら6m以上なんて方もいらっしゃるかもしれません。
今回はそんなシールドの長さについて書いてみようと思います。
シールドの長さの選び方
結論から言います。
シールドは抵抗なので最低限の必要な長さ+少し余裕を持たせた長さで運用する。
以上です。
多分ですけどシールドが短い方が音が良くなるからと言って、いつもライブ会場で走ったりジャンプしたりする方が我慢出来るとは思えないんですよね。
じゃあ必要な長さで運用する、というのが一番合理的だと思います。
例として、私はライブで動かないタイプです。
なのでアンプと繋いだ時、シールドが床で2~3巻きは出来る、それぐらいの余裕を持たせています。いくら動かないとは言え何かの拍子にシールドを引っ張ってしまってアンプからプラグが抜けたら悲惨な事になってしまいますからね。
少し余裕を持たせる、これも重要な事です。
抵抗値がある以上劣化は避けられないので、この辺とは上手く折り合いをつけるべきではないでしょうか。
一応機材も時代と共に進化しているのでシールドに縛られずワイヤレスを使う方法もあります。私も以前あった大きめのライブではアンプと距離があったり機材も多かったので、ワイヤレスを使ったことがあります。
ハイエンドから廉価グレードまで色々ありますが、そこは練習用やライブ用と使い分けしてみると良いでしょう。
無理に短くする必要はないという事が分かったところで、この項目以降は自作する方向けの内容となります。
バッファを使う
やはり機材とインピーダンスは切っても切れない関係です。本来機材間のインピーダンスは合わせるべきなんですが、ハイ受けロー出しというのはオーディオの黎明期の技術の問題が受け継がれているというのが原因です。
何かと引き合いに出されるバッファですが、それだけ役目が多いという事ですね。
まずギターからアンプ、もしくはエフェクター間が最も外来ノイズの影響を受けやすいです。
理由は単純、ギターの出力がハイインピーダンスだからです。ギター内部にバッファを仕込んでアクティブギターのようにするのが電気的には一番よろしいんですが、やはり皆さんパッシブのギターが好きでしょうからそうもいかないでしょう。
以前あった例としてはあるギタリストから相談を受けた、長いシールドを使うから音の劣化を最小限にしたいというものでした。
こういう場合はやはりバッファを使う他に無いです。ただやり方はいくつかあって、小型のバッファモジュールをギターに直付けしてシールドを繋ぐというものです。
あまり激しく動かなければ抜けることも無いですし、これが一番効果的でしょう。
次にバッファペダルのみ足元に置いておくという方法があります。単純な話ですが、長いケーブルであればあるほど効果はあります。
シールドとインピーダンス
そもそもハイインピーダンスと言われるギターの出力インピーダンスはどれぐらい高いかご存じでしょうか。
一般にローインピーダンスと言われる機材は4Ω~16Ω程です。アンプの出力端子はこのぐらいですよね。
次にハイインピーダンスと言われる機材は数十Ω~数kΩです。これらはエフェクター等の出力インピーダンスに該当します。実はエフェクターの出力インピーダンスはそこそこ高いんですよね。
そしてその上を行くのがパッシブギター、ベースのインピーダンスです。具体的な数値はギターやベースの種類で違いますが、数百kΩ程度です。
このようにギターの出力インピーダンスは他の機材と比べ桁違いに高いわけですが、出力インピーダンスを下げることでノイズに強くなります。
ネットで曖昧な記事が散見されますが、ローインピーダンスになったらノイズを跳ね返すというような意味でノイズに強い訳ではありません。
ローインピーダンスにすることで多少ノイズが入っても信号の方が強いから結果的にノイズに強くなった、という話です。
確か海外の実験動画で100mぐらいのシールドをバッファを繋いだ時と繋がない時での比較映像があったと思うのですが、見つけられませんでした。代わりですが、国内の実験動画があったので貼っておきます。
なかなか興味深い動画ではないでしょうか。
エフェクターを使った時バッファを通ったおかげでかなり改善されていますよね。バッファの性能はどれも大差無いので、お手持ちのバッファ、バッファ付きエフェクターでも十分効果を発揮します。
また以前のシールドについての記事でシールドのデータシートについて紹介しましたが、シールドで問題になってくるのは交流抵抗であって直流抵抗ではありません。
シールドのプラグ両端をテスターで測定して抵抗値が高いからこのシールドは良くない、というのは直流での話です。ギターの出力は交流なので見るべきはインピーダンスです。
http://www.mogami.com/mit/jp-catalog.pdf
またモガミのデータシートですが、3368に書いてある抵抗値はレジスタンス、直流抵抗なので交流で直流抵抗が問題になることはありません。
それでこれがどのように影響するかですが、伝送インピーダンス高くなると同じ電力でも電圧が高くなり、電流は減ります。
低くなればその逆ですね。
シールドの性能ではなく伝送インピーダンスの観点から見ればインピーダンスが高い方が外部ノイズを拾いやすく、低い方が広いにくいことが分かると思います。
いくらシールド性能が高くてもインピーダンスが高ければシールド性能は弱まるという事ですね。
ケーブルの豆知識
ケーブルの構造
最近回路について勉強し始めた方だと逆に気付きやすいかもしれませんが、線間容量が多いほどハイ落ちが起こるならケーブルによってミッドが出たりローが出たりするのはなんでやねん問題があります
これは見出しの通り、それぞれのケーブルによる構造の違いによるところが大きいです。
例えばこれを最大限利用しているのがモンスターケーブルでしょう。マルチワイヤーという特許技術を使って各帯域の伝達のズレをなくすという技術です。
私は録音用でstudio pro 2000というケーブルを愛用しています。他のモンスターケーブルとはそもそも構造が違うので一番違いが実感できますね。
ただケーブルが太いので、ライブのように動く時には適さないでしょう。以前パッチケーブルの記事でも書きましたが、太く取り回しし辛いケーブルは振動がプラグに伝わってそれがノイズになって今います。
ケーブルによる帯域の違い
また、最初に書いたローが出るミッドが出る、ハイが出るというよくある表記は正確には間違っています。
実際に信号を100から100で伝える事は出来ません。
超伝導を使えば可能ですが、シールドを液体窒素に漬け込むのは現実的ではないでしょう。
なので、実際にはギター信号は引き算です。ミッドが出るケーブルならハイとローが減衰しているという事ですね。
何に役立つというわけでも無いですが、知っておくと知識が深まるでしょう。
シールドとパッチケーブルは揃えるべきか
答えはNOです。
別に揃える必要はありません。
長年音響機材の設計に携わっていた方から聞いた話で様々なメーカーのケーブルを3m程度で聞き比べたそうですが、違いは分からなかったそうです。
高周波用なども聞き比べたそうですが、このことからもこの程度の長さでは聞き分け出来ない可能性が高いですね。
ただ、性能の良いケーブルを追及するとシールドとパッチケーブルが同じになってしまうというのはあると思います。
個人的に考える必要最低限の長さ
統計的に見てデータを整理したわけでは無いので科学的根拠はありません。あらかじめご了承ください。
私としてはバッファを噛ませない場合ギターシールドの長さは6mまでと思っています。市販されている中でも6mが手に入りやすいというのと、ハイ落ちの許容範囲的にもこの辺が限度だと考えています。
個人的には3.6mをよく使いますね。私だと色んな場面で使えるこの長さがちょうどいいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
バッファの偉大さを感じる良い例だったと思います。
バッファを使う事でケーブルに関する問題はかなり改善されるのでバッファの使用はぜひお勧めします。
最後まで読んでくださってありがとうございました(^▽^)/
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